白昼堂々 1968年 (昭和43年) 邦画名作選
九州のある村落。炭鉱が閉山してしまい、存亡の危機に立たされる。
途方にくれた炭鉱夫のワタ勝こと渡辺勝次(渥美清)は、仲間を呼び集める。
ワタ勝は、昔スリ名人として名を轟かせた男だ。
続々とワタ勝の元に集まる炭鉱夫たち。彼らは万引き集団を結成。
上京した一団はデパートに狙いをつけ、大仕掛けな万引きを繰り返す。
が、一人、二人と警察に捕まり始めた。ワタ勝は一か八かの大勝負に出る。
それはデパートの莫大な売上金を奪うという、とてつもない大計画だった。
1965年(昭和40年)週間朝日に連載された直木賞作家・結城昌治の同名小説の映画化。
高度成長の陰で、多くの炭鉱が倒産。仕事を奪われた人々が、万引き集団を結成して上京、
白昼堂々と資本主義の象徴のデパートを荒らし回る、という実話を題材にした物語。
万引き集団の面々は、炭鉱閉鎖で行き場をなくした労働者たちで、同情の余地もある。
彼らの親分が、渥美扮するワタ勝で、仲間を率いて大掛かりなデパート万引きを企てる。
とはいえ、物語は喜劇仕立てである。犯行の準備は周到とは言えず、まぬけな失敗も多い。
ワタ勝の昔のスリ仲間の銀三(藤岡琢也)、彼ら一味を追う老刑事の森沢(有島一郎)、
スリ専門の弁護士の坂下(フランキー堺)と、曲者ぞろいの喜劇役者がここに絡んでくる。
また倍賞千恵子が、凄腕の美人スリとして登場し、渥美と恋仲になるというのも
「男はつらいよ」の妹役・さくらを見慣れた目には新鮮だ。
本作は勿論、万引きを擁護する作品ではない。廃鉱によって正業を奪われ、背に腹は代えられず、
犯罪を犯してしまう人間の弱さ、哀しさにスポットを当てた、社会派人間ドラマになっている。
映画はまた、実際にロケした炭鉱の街並みがリアルで、当時の貴重な映像資料ともなっている。
制作 松竹
監督 野村芳太郎 原作 結城昌治
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配役 |
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渡辺勝次 |
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渥美清 |
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森沢刑事 |
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有島一郎 |
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マーチ |
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田中邦衛 |
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腰石よし子 |
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倍賞千恵子 |
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森沢タツ子 |
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高橋とよ |
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八百橋ユキ |
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生田悦子 |
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富田銀三 |
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藤岡琢也 |
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坂下弁護士 |
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フランキー堺 |
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巡査 |
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三遊亭歌奴 |