花れんこん 1969年(昭和44年) ドラマ傑作選


築地中央卸売市場の青果仲買店「定文」の長女・八重(池内淳子)は、
男ばかりの市場で紅一点、セリ台に立つ。
家に帰れば、ぐうたらやもめの父・文五郎や、四人の弟妹の世話に忙しい。
八重には、家族に内緒の恋人、新聞記者の章(児玉清)がいた。
29歳の八重は、思い切って結婚してしまおうと、隅田川のほとりの
お稲荷さんで、章とふたりだけの結婚式をあげる。
三々九度の代わりに、牛乳屋から買った牛乳一本を分けて飲むふたり。
朝は市場で働き、午後は小唄のけいこと家族にウソをついて章のアパート
へ通う八重の二重生活が始まった。
文五郎は、八重が結婚したことを知らず、市場事務員の川久保(高橋悦史)を
ムコにと決めていた。川久保もすっかりその気だ。
八重は断ったものの、章をどうやって紹介しようかと悩むのだった。
よろめきドラマのヒロインとして一世を風靡した池内淳子だが、本作では、家の稼業である
青果仲買業を父の代わりに勤めながら、弟に家業を譲るまではと、恋する男との結婚も内緒、
しっかり者の娘と恋女房の役を使い分ける、という難しい役どころ。
原作は、芝木好子の芥川賞受賞作「青果の市」
それだけに池内は、実際に築地中央卸売市場に出向き、セリの模様を見学するだけでなく、
本職の仲買人から実地指導を受けたりと、役作りにけんめいだ。
下町という場に置いただけで絵になる池内は、つい気安く声をかけたくなる親近感がある。
やっちゃ場での鉄火な出で立ち、小唄の稽古に通う浴衣姿など、青果仲買店の長女・八重は、
池内そのもののような生き生きとしたヒロインぶりを見せている。
(制作)NET(原作)芝木好子(脚本)向田邦子
(配役)佐竹文五郎(進藤英太郎)長女・八重(池内淳子)長男・恭(松山英太郎)
次女・時江(一色美奈)次男・弘平(大谷直)三男・杉夫(中沢裕喜)竜岡章(児玉清)
川久保未次(高橋悦史)義母・ます(宝生あやこ)小唄の師匠・市川喜代(賀原夏子)
