晴れた日に   1956年 (昭和31年)            邦画名作選

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真夏のある晴れた日。政治家・酒井忠良の一人娘・香澄は軽井沢の別荘に父を訪れた。

香澄は、父の勧めで青年実業家・鷲尾との縁談を最近承知したばかりだった。

しかし、この縁談に政略結婚のにおいを感じて、本心では気乗りがしなかった。

そんなある日、彼女は別荘仲間の優子にゴルフを教えていた青年・早見に出会う。

朴訥だが優しさのある早見に、香澄は心惹かれるものを感じるのだった…。



「君の名は」で一世を風靡した名匠・大庭秀雄が、今日出海の新聞連載小説を映像化。


ヒロイン・香澄(有馬稲子)は、婚約者の青年実業家・鷲尾(佐田啓二)に飽き足らず、
ゴルフ場で出会った、学歴は無いが才気煥発な青年・早見(高橋貞二)と付き合い出す。

一方、祇園の芸妓・雪路(小山明子)も、京都で知り合った早見に恋心を抱いていた。

四人の男女の微妙な恋愛心理を鋭く描き出した松竹メロドラマの佳篇。


有馬稲子は、芯が強く凛としている一方、一途な女性らしさも併せ持つという役柄が多い。

本作では、親の決めた縁談が気に食わず、反発する令嬢を演じているが、後半は一転して、
ひたむきに情を傾ける健気な女性像を好演している。

それはおそらく有馬稲子の生まれ育った環境の複雑さに由来しているものと思われる。
どこか内面の深さをうかがわせる役どころが彼女の持ち味となっているようだ。



 
  製作  松竹

  監督  大庭秀雄  原作 今日出海


  配役 酒井忠良   柳永二郎 佐竹老人   笠智衆
  酒井香澄   有馬稲子 佐竹雪子   小山明子
  鷲尾謙吉   佐田啓二 古河夫人   高橋豊子
      早見三一   高橋貞二 古河優子   杉田弘子

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