北条政子 1970年(昭和45年) ドラマ傑作選
伊豆の豪族・北条時政の娘・政子(佐久間良子)は、流人・源頼朝(杉浦直樹)からの文を受け取る。
清和源氏の嫡男・頼朝は、平治の乱で平清盛に敗れ、島流しとなっていたのだ。
「今宵、三島大社の祭りに、ぜひお目にかかりたい」
年に一度の祭りの夜、男女は、自由な一夜を許されている。
政子は、政敵の御曹司からの誘いに戸惑いつつ、頼朝の家来の案内で館を訪ねた。
その夜、21歳の政子は、頼朝と結ばれる。が、父・時政に知られて、怒りを買ってしまう。
歴史を動かした女・北条政子が頼朝と出会い、夫婦生活、そして頼朝の死までの前半生を描く。
北条政子は鎌倉幕府を開いた源頼朝の妻で、尼将軍と呼ばれた女丈夫だが、彼女には
二つの顔があった。
ひとつは頼朝との初恋にはじまり、結婚、出産、そして夫の浮気に対して燃やす
激しい嫉妬の炎…と、ごく平凡な女の顔。
もうひとつは息子頼家の独裁を排して、13人の合議制を敷いたり、大演説を振るって
承久の変を乗り切る彼女にみられる政治家の顔。
ドラマはそうした政子の前半生に焦点をあて、伊豆の片田舎に生まれた一女性が、
渦まく時代の波の中で、いかに生きたかという「女の姿」を浮き彫りにしていく。
北条政子を演じた佐久間良子は、この年の4月、平幹二朗と結婚。ますます成熟した美しさ
をみせる佐久間の、結婚後初仕事でみせる体当たりの政子像が大きなみものとなっている。
本作は、主演の佐久間、杉浦直樹をはじめ、三島雅夫、岩崎加根子、大友柳太朗など芸達者な
面々の重厚な演技が伯仲して、見ごたえ十分の歴史絵巻となった。
(制作)NET(テレビ朝日)(原作)永井路子(脚本)向田邦子
(配役)北条政子(佐久間良子)源頼朝(杉浦直樹)北条時政(三島雅夫)牧の方(岩崎加根子)
土肥実平(大友柳太朗)北条宗時(中村敦夫)北条義時(石立鉄男)藤九郎(福田豊土)