今ひとたびの  1947年(昭和22年)      邦画名作選

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診療所に働く医師の野上(龍崎一郎)は、ある日、友人の招きで出かけた劇場で
暁子(高峰三枝子)と知り合い、やがて二人は、互いに恋い慕うようになる。

だがある時、野上は、左翼の危険分子として逮捕されてしまう。


刑期を終えて出所した野上は、暁子が親の決めた相手と結婚していることを知り、
自らは僻地の診療所に身をひく。

暁子の夫が事故死したあと、野上は暁子との再会を果たすが、しかしその喜びも
束の間、野上は召集令状を受けて戦場へ。



1946年(昭和21年)月刊誌「婦人朝日」に連載された高見順の同名小説の映画化。


愛し合う二人を相隔てて幾年月、戦争は遂に終戦を迎えた。焦土と化した東京の街にも
柔らかい平和の陽射しが、さんさんと降りそそいでいた。

復員した野上は、旅装も解かずに「日曜日の午後四時、きっとお待ちしてますわ」
暁子の四年前の別れの言葉を胸に抱いて、約束の場所に駈けつけるのだった。


本作は、戦時中の左翼弾圧や軍隊召集によって阻まれた若い医師と令嬢の恋が、
平和になった四年後に実を結ぶという、高見順原作の叙情豊かな作品。

高峰三枝子は、労働運動家で医師の青年が、一生をかけて恋こがれる令嬢に相応しく
しっとりと落ち着いた美しさを見せている。


ヒロイン暁子が、再会を約した場所である東京・お茶の水のニコライ堂は、その後、
若者たちのデート待ち合わせの名所となった。





 
  製作  東宝

  監督  五所平之助   原作  高見順

  配役   都築暁子 高峰三枝子 蒲原菊男 北沢彪   名和俊子 谷間小百合
      野上哲也 龍崎一郎 左近正彦 田中春男   村上きよ 出雲八重子
      田中耕三    河村弘二          刑事    清水将夫          看護婦木村    中北千枝子 

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