女中ッ子   1955年(昭和30年)       邦画名作選

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織本初(左幸子)は、秋田から上京して、加治木家の女中になる。

主人夫婦は、会社社長の恭平(佐野周二)と、妻の梅子(轟夕起子)。

小学生の男の子が二人いる。下の子供はあまり両親に可愛がられていない。

不憫に思った初が、よく面倒を見る。子供もなついてくる。


元気のいい初は、子供に木登りや、ザルで罠を作って雀を取ることを教えたりする。

いじめっ子にいじめられると、持ち前の正義感からやっつけてしまう。

運動会の日、初は、母親の代わりに付き添いで行く。

そして親子競争に参加して、みごと一等になる。

子供は、絵の授業の時、母親の絵ではなく、ねえやの絵を描く。

感動した初は、いつまでもその絵を大事にするのだった。



1954年(昭和29年)小説新潮に掲載された芥川賞作家・由起しげ子の同名小説の映画化。


今は「お手伝いさん」と呼ばれるが、昭和の頃まで「女中」というのは、映画やドラマに
よく登場する仕事だった。

いわゆる「家に住み込みのお手伝いさん」であり、当時の家事が主婦一人でこなせるものでなく、
いかに重労働であったかを物語っている。


本作は、秋田の田舎から上京してきた天真爛漫な女中・初と、親から嫌われ者の次男坊との、
ほのぼのとした心の交流が描かれる。


はじめは、初を小馬鹿にしていた次男坊だったが、明るく奔放な彼女を次第に慕うようになり、
友達から「女中ッ子」 と呼ばれるようになる。

女中・初を演じた左幸子の、初々しく溌溂とした演技が印象に残る佳篇である。






  製作  日活

  監督  田坂具隆     原作 由起しげ子

  配役    織本初 左幸子 加治木雪夫 田辺靖雄 若月 宍戸錠
      加治木恭平 佐野周二 加治木勝見 伊庭輝夫 初の母 東山千栄子
      加治木梅子    轟夕起子        野村ひろ子    高田敏江        初の父    伊丹慶治 

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