舞台は大阪・船場の老舗木綿問屋「矢島商店」
当主が亡くなり、遺産の相続をめぐって親族が一堂に会した。
故人から死後の手続きを一任された大番頭は、そこで遺言状を公開する。
その遺言状には、莫大な遺産の配分だけでなく、故人の愛人の存在が記されていた。
初めて知る父親の愛人の存在に、残された三人の娘は嫌悪感をあらわにするのだった。
1962年(昭和37年)週刊文春に連載された山崎豊子の同名小説の映画化。
物欲に狂奔する人間のエゴイズムと執念を鋭くえぐった人間追求のドラマ。
原作は、原稿用紙1400枚に及ぶ長編小説であったが、溝口作品で知られる
脚本家・依田義賢によって二時間弱に短縮された。
老舗の当主が急死し、娘三姉妹の遺産相続をめぐる争いが勃発する。
そこへ当主の愛人が現れ、大番頭らも含めた各々の思惑が絡んでくる。
遺産争いは複雑化するが、最後には意外などんでん返しの結末となる。
主演の若尾文子は、1960年「ぼんち」1961年「女の勲章」に続き、
大阪船場を舞台にした山崎豊子作品の出演は三度目となった。
本宅の長女(京マチ子)や大番頭(中村鴈治郎)などの強敵を相手に
愛人の秘められた執念を鮮やかに演じている。
制作 大映
監督 三隅研次
配役 | 浜田文乃 | 若尾文子 | 矢島雛子 | 高田美和 | 梅村芳三郎 | 田宮二郎 | |||||||||||||
矢島藤代 | 京マチ子 | 芳子 | 浪花千栄子 | 大野君枝 | 北林谷栄 | ||||||||||||||
矢島千寿 | 鳳八千代 | 大野宇市 | 中村鴈治郎 | 矢島嘉蔵 | 深見泰三 |