毛糸の指輪 1988年(昭和63年) ドラマ傑作選

小さな出版社に勤める宇治原有吾(小林桂樹)は、定年間近の窓際族だ。
頑固で昔かたぎな有吾は、同僚からは敬遠され、会社では孤立していた。
退社後、近くのゲームセンターで興じるのが、彼の唯一の憂さ晴らしだった。
ある日、有吾はゲームセンターで、若いカップルの話を立ち聞きする。
女の方は、清子という両親のいない娘(渡辺典子)で、
男の方は、彼女の恋人の時夫(橋爪淳)だった。
聞けば、時夫には、会社の課長の娘との縁談が持ち上がっているらしい。
清子は健気にも彼を激励するのだが、時夫の去った後、一人涙するのだった。
同情した有吾は、彼女の相談相手を買って出る。
事情を知った妻のさつき(渡辺美佐子)も、清子の応援に回った。
有吾とさつきは、清子を自分の家に出入りさせ、料理や礼儀作法を教えたり、
男女の仲についてアドバイスしたりする。
やがて二人は、清子を自分の娘のように思い始めるのだった…。
身寄りのない娘と、子供のいない初老の夫婦が、偶然出会い、即席の親子を演じるというストーリー。
生き別れとなっていた親子が、再び巡り会えたような、どこか大人のおとぎ噺のような趣もある。
本作は、ややもすれば、作り話らしい空々しさを感じさせてしまう筋書きなのだが、頑固で昔かたぎ、
要領よく生きられない夫を演じた小林桂樹、世話好きで愛嬌のある妻役、渡辺美佐子、そして健気で
初々しい娘を演じた渡辺典子らの好演によって、かえってドラマとしての真実さを出すことに成功し、
心温まる佳作に仕上がった。
(制作)TBS(脚本)向田邦子
(配役)宇治原有吾(小林桂樹)妻・さつき(渡辺美佐子)丸根清子(渡辺典子)元橋時夫(橋爪淳)
土屋悦子(茅島成美)竹田編集長(イッセー尾形)唐沢緑(五大路子)
