きんぎょの夢 1971年(昭和46年) ドラマ傑作選
柿沢砂子(若尾文子)は、有楽町の裏通りの一角で、おでん屋をやっている。
OLを辞めて、この商売を始めて、かれこれ七年になる。
手伝いは、ポンちゃん(高山ナツキ)という若い女の子が一人。
買い出しから仕込み、客の相手まで、砂子がほとんどこなしている。
店の常連客に、週刊誌の記者をやっている殿村良介(池部良)という男がいた。
砂子は、この家庭のある殿村と不倫関係にあった。
自分のことを愛し、離婚を約束してくれている殿村と幸せな時間を過ごす砂子。
だが殿村は、妻のみつ子(杉村春子)にはまだ離婚のことを言い出せないでいた。
そんな中、砂子の店にみつ子から、ひとりで来店するという予約の電話が入る…。
おでん屋を営む女性が、妻子持ちの男との失恋を経て、幸せを見つけるまでを描く。
母を早くに亡くし、二人の妹の母親代わりをつとめて来た砂子。父も勤務中に倒れ、
やむなく始めたおでん屋で、妻のある常連客・殿村と恋に落ちてしまう。
ある日、殿村の妻が店にやって来て、女同士の火花が散る。
結婚を夢見ながらも、厳しい現実に近づく砂子。
その道ならぬ恋の顛末を、作者は、童謡「金魚の昼寝」を用いて表現している。
「♪ 赤い金魚は あぶくを一つ 昼寝うとうと 夢からさめた」
ヒロイン砂子の見た夢は、まさに金魚の吐くあぶくのように、はかないものであった。
(制作)NET(原作)向田邦子(脚本)向田邦子
(配役)柿沢砂子(若尾文子)殿村良介(池部良)殿村みつ子(杉村春子)
折口誠(井川比佐志)ポンちゃん(高山ナツキ)