国士無双   1932年(昭和7年)       邦画名作選

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武士道華やかなりし頃、ある町に将軍家の指南役、伊勢守が滞在していた。

食い詰めた浪人二人が、タダで飲み食いする策を練った。

二人は、偽者の伊勢守を仕立て、その名をかたって遊興しようという段取りを立てる。

そこで通りがかりの若者を、偽の伊勢守に仕立て上げることにした。

若者は、伊勢守になりすまし、浪人たちは料亭で豪遊しツケは本物へ回す。


ある日、偽者は、暴漢に襲われた見ず知らずの娘・お八重を救出する。

偽者はお八重の父に会い、名を問われ「伊勢守」だと名乗る。

ところがお八重の父こそが本物の伊勢守であった。

怒った本物が、偽の伊勢守と立ち会うが負けてしまう。


恥じた本物は、山奥に籠り、仙人のもとで修行を開始した。

三年が過ぎ、修行を終えた本物は、偽に再び対決を挑むが、また負けてしまう。

偽は「勝ったものが正しいのだ」と言い放ち、お八重を連れて去っていく。

やがて雪が二人の上に降り積もり、二つの雪だるまができるのであった。



伊勢野重任のオリジナル脚本を、伊丹万作が監督し、片岡千恵蔵と山田五十鈴が共演した諧謔時代劇。

伊勢野の原題は「贋物」であったが、当時マージャン流行のときで、伊丹が「国士無双」と改題した。

無声映画の名作とされる本作品は、現在ではフィルムが散逸し、20分程度の断片が残るのみである。



 

  製作  千恵プロ   配給  日活

  監督  伊丹万作

  配役    偽者    片岡千恵蔵        伊勢伊勢守 高勢実乗 浪人乙   渥美秀一郎
      お八重 山田五十鈴 仙人 伴淳三郎 古着屋七郎兵衛   沢村寿三郎
      お七 白川小夜子 浪人甲 瀬川路三郎 おけらの八兵衛   香川良介

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