黒革の手帖 1982年(昭和57年) ドラマ傑作選
元子(山本陽子)は、銀行の支店に勤務する33歳のベテラン行員。
ある日彼女は、ニセの送金伝票三枚を次々に端末機に打ち込んだ。
その後、支店次長の村井(井上孝雄)に、医者に行くと断って、
三つの支店を回り、合計7600万円の現金をまんまとせしめる。
その夜、真っ青になっている村井に、元子が電話を入れ、ホテルのロビーに呼び出す。
「金を返せば穏便に処理する。でなければ警察に知らせる」と言う村井に、
元子は、架空名義預金者がびっしりと書かれた「黒革の手帖」を見せた。
それから数か月後、銀座のクラブ「カルネ」では、元子がママとして君臨していた。
松本清張のサスペンス・ミステリー。銀行勤務のハイミスが、業務の盲点をついて金を横領。
それを元手にナイトクラブを開き、群がる男たちを手玉にとって、野望の階段を登っていく。
主演の山本陽子の悪女ぶりが目を引く。ハイミスの行員のときは、髪を後ろに引き詰めて、
化粧っ気はまるでなし。
クラブのママでは、和服を何枚も着替える華麗な変貌ぶりで、これまでのおしとやかな美女の
イメージをかなぐり捨てて、冷徹な悪女を見せつけている。
(制作)ANB(全国毎日放送)松竹(原作)松本清張(脚本)服部佳
(配役)原口元子(山本陽子)安島富夫(田村正和)長谷川庄治(小沢栄太郎)楢林謙治(三国連太郎)
中岡市子(渡辺美佐子)山田波子(萬田久子)橋田常雄(ハナ肇)村井亨(井上孝雄)