昭和18年、百閨iひゃっけん)先生は文筆活動に専念するため長年勤めた大学を辞めた。
先生の人柄を慕う門下生たちは、足繁く先生のもとを訪ねて来る。
ある日、先生の還暦の祝宴が開かれていた最中、空襲がやって来る。
家を焼かれた先生と奥さんは、知人の厚意で借りた小屋で暮らすようになるが…。
随筆家・内田百閧フ随筆を原案に、彼の日常と教師時代の教え子との交流を描く。
巨匠・黒澤明の30作目にして最後の作品。名優・松村達雄の軽妙な演技が光る。
空襲で焼け出されて、ほったて小屋に移り住むことになった先生と奥さん。
奥さん役を演じた香川京子に、黒澤監督から「ラブシーンを演じるように」と注文があった。
大変難しい注文で、大いに悩んだ香川だったが、開き直って体当たりで演技したという。
季節の移り変わりが美しく映し出される中、老いた夫婦の何気ない日常生活が綴られる。
二人の淡々とした幸せな光景は、その向こうに大きな愛が潜んでいるのを確かに感じさせてくれた。
製作 大映 配給 東宝
監督 黒澤明
配役 | 内田百 | 松村達雄 | 甘木 | 所ジョージ | 主治医 | 日下武史 | |||||||||||||
奥さん | 香川京子 | 桐山 | 油井昌由樹 | 和尚 | 小林亜星 | ||||||||||||||
高山 | 井川比佐志 | 沢村 | 寺尾聰 |