まだら頭巾 剣を抜けば 乱れ白菊   1957年 (昭和32年)   邦画名作選
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老中・田沼意次が専横を極めていた時代。
狩りに出た将軍・家治が短銃で狙われるという事件が発生。

そこに鈴の音を鳴らし、白馬にまたがった剣士が現れる。
彼こそが、神出鬼没の正義の剣士、人呼んで「まだら頭巾」。

その正体は、市井に暮す将軍の弟・疾風竜之介(近衛十四郎)であった。
竜之介の念願は、老中・田沼らを将軍の側から排除することにあった。

だが、彼の行く手を阻む凄腕の刺客・水切源信(月形龍之介)が現れる。



1957年、月刊娯楽雑誌「平凡」に連載された柴田錬三郎の同名時代小説の映画化。

時代劇の醍醐味は、何といってもチャンバラ(剣戟)だろう。チャンバラの語源は、
白刃を打ち合う様子を表した擬音語「ちゃんちゃんばらばら」に由来している。


このチャンバラで一世を風靡した時代劇俳優は数多く輩出しているが、戦後の一時期、
「チャンバラ日本一」を謳われていたのが近衛十四郎である。

1954年(昭和29年)近衛は松竹京都に入社。当初、高田浩吉の相手役をつとめていたが、
その間に、独自の刀法「逆手二刀流」を編み出し、一躍注目され、主演スターとなった。


これは二刀の刀の柄を逆手に握って斬るという前代未聞の刀法だが、本作「まだら頭巾」
においては、その前段階である順手による二刀流を披露している。

まだら頭巾と水切源信の対決は、まれに見る名勝負となった。対峙した瞬間、二人は
互いを強者と認識する。剣を交えること数合、源信は神道無念流の達人であった。


敵役・水切源信に扮したのは、剣戟スター・月形龍之介である。圧倒的な強敵をという
近衛たっての願いにより、東映の月形に出演依頼がなされたという。


月形は剣道三段の武道家だった。剣戟俳優は大勢いるが、有段者は珍しい。
剣戟の立回りは、剣道ではないから、剣道の心得が無くてもよいとされている。

しかし立回りの根本の構えは、剣道が基本となっている。月形の重厚かつ風格のある
太刀裁きは、やはりこの剣道から発しているのだろう。



 
  製作  松竹

 監督  倉橋良介  原作 柴田錬三郎

  配役  まだら頭巾 近衛十四郎 水切源信 月形龍之介
    菊姫 山鳩くるみ 霞小僧 目黒裕樹
    とんびの小太郎 中村賀津雄 大沢越中守 香川良介

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