マンモスタワー   1958年(昭和33年)       ドラマ傑作選

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建設中の東京タワーの下、大手の映画会社「大宝」では、重役会議が開かれていた。


会議では、映画のライバルとして登場した「テレビ」の話題で持ち切りだった。

「映画」の歴史と伝統の前に「テレビ」は恐れるに足らず、が大方の意見であった。


だが、本部長の黒木(森雅之)だけは、旧態依然とした映画の制作方針に疑問を感じていた。

黒木は、森繁久彌の娘・嘉子を、自社専属の映画スターとして売り出すことを提案する。


森繁は、映画の活動弁士として活躍した人物なので、彼女も注目されるだろうと考えたのだ。

重役たちも、テレビの脅威を、薄々感付き始めていたため、黒木の提案に賛成した。


だが、その嘉子はまもなく、映画女優に嫌気がさして、テレビ局に移籍してしまうのだった。




映画に愛情を持つ主人公が、自分の映画会社の体質を変えようと奮闘するドラマ。


映画界とテレビ局の激しい闘いを描いた作品で、放映当時の1958年(昭和33年)は、
日本の映画入場者数は、11億2700万人に達し、そのピークを迎えていた。

安定した興行収益を計上し続けていた映画会社全体は、まだまだ余裕があった。


だが同年、TBSドラマ「月光仮面」が大ヒット。
平均視聴率40%以上、最高視聴率は、なんと68%を記録。

子供は勿論、大人からお年寄りまで、月光仮面を知らない人はいなかった。


テレビを「電気紙芝居」などと揶揄していた映画関係者にも、テレビドラマに
対する評価を一変させるほどの国民的番組となった。


本作が放映された当時、脚本家は誇大妄想扱いされたようだが、その後、テレビの
大普及により、映画産業は斜陽化の道をたどることになる。


1970年(昭和45年)以降、業績悪化により映画会社は次々に倒産。これにより、
映画産業の凋落は決定的となった。

その意味で本作は、テレビ時代の到来をあらかじめ予見していたドラマといえる。
   

 
(制作)TBS(KRT)(脚本)白坂依志夫

(配役)大宝映画制作本部長・黒木(森雅之)大宝映画社長(三島雅夫)大宝映画重役(下元勉)
大宝映画重役(千葉伸雄)大宝映画重役(金子信雄)テレビ局社長(斎藤達雄)テレビディレクター(滝田裕介)
テレビディレクター(芦田伸介)元活動弁士(森繁久彌)その娘(山本嘉子)兼高かおる(兼高かおる



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