また逢う日まで 1950年 (昭和25年) 邦画名作選 |
昭和18年。戦争真っ只中の日本。
空襲警報が鳴り響く地下鉄のホームで、三郎と螢子は初めて出会った。
二人は一目で惹かれ合い、互いにとって掛けがえのない存在へとなっていく。
しかし、そんな時も長くは続かず、ついに三郎の下に召集令状が届けられる。
この映画の原作となった「ピエールとリュス」は、ロマン・ロランの短編小説である。
第一次大戦下のパリで、青年ピエールと少女リュスの恋が、戦争のために悲劇に終わる物語。
ロランは、愛情一筋に生きた若者の恋愛の美しさを描き、背後に戦争の非人間性を鋭く訴えた。
「また逢う日まで」は、戦時下を舞台に、あえてその風潮に抗う恋人たちによるメロドラマで、
原作の筋立てに忠実であり、ロランの反戦精神は、今井正の演出によって見事によみがえった。
当時戦争を批判する映画は多数作られたが、概して観念的で評判はよくなかった。この作品に
至り「戦争を憎む気持ちをこれほどまで起こさせる映画はなかった」と評論家に言わせている。
なお、ヒロイン久我美子と、入隊目前の学生に扮した岡田英次とのガラス越しのキスシーンは、
日本映画史上において、いまだロマンティックな輝きを放ち続けている。
製作 東宝
監督 今井正
配役 | 小野螢子 | 久我美子 | 田島二郎 | 河野秋武 | ||||||||||
田島三郎 | 岡田英次 | 田島正子 | 風見章子 | |||||||||||
田島英作 | 滝沢修 | 小野すが | 杉村春子 |