江戸城の御蔵番を勤める神尾喬之助は、日頃から新参者として陰湿ないじめを受けていた。
同僚たちは、商人たちから賄賂を受け取らぬ生真面目な喬之助を疎ましく思っていたのだ。
遂に嫌がらせに堪えられなくなった喬之介は、同僚の一人を叩き斬って、城を飛び出す。
お尋ね者となった喬之助は、岡っ引きの壁辰ら大岡越前守配下に追われる身となった。
喬之介は江戸の町に逃げ込み、喧嘩屋渡世を生業とする茨右近とお紘の家にかくまわれた。
妻・園絵とも再会し、喬之介は右近らの協力を得て悲願の復讐を遂行していく…。
原作は、丹下左膳の作者として知られる林不忘。この作品は好評で何度も映画化された。
阪妻だけで三回。大河内伝次郎や大友柳太朗なども演じている。
主人公の神尾喬之助が、職場の憎たらしい同僚に一矢報いるという筋書きが、当時の
サラリーマン世代を中心とする観客の大喝采を受けたのである。
本作「魔像」は、阪妻三度目の映画化で、同じく一人二役を演じており、セリフ回しも、
硬・軟両面に使い分けるなど大熱演を見せている。
また山田五十鈴、柳永二郎、三島雅夫、香川良介、小林重四郎、戸上城太郎など、
時代劇の常連スターたちが脇を固め、芸達者な演技を披露しているのが魅力だ。
製作 松竹
監督 大曾根辰夫 原作 林不忘（ふぼう）
| 配役 | 神尾喬之介 | 阪東妻三郎 | 大岡越前守 | 柳永二郎 | 脇坂山城守 | 小堀誠 | |||||||||||
| 茨右近 | 阪東妻三郎 | 魚心堂 | 三島雅夫 | 戸部近江介 | 永田光男 | ||||||||||||
| 園絵 | 津島恵子 | 壁辰 | 香川良介 | 大迫玄蕃 | 海江田譲二 | ||||||||||||
| お絃 | 山田五十鈴 | 音松 | 小林重四郎 | 神保造酒 | 戸上城太郎 |
