緑はるかに 1955年(昭和30年) 邦画名作選
ルリ子は、科学者の父親が病気になったと聞き、母親と一緒に迎えの車に乗った。
しかしそれは研究内容の秘密を盗もうとするスパイの策略だった。
捕われの身となったルリ子は、洞窟の中で父親と再会する。
発明の秘密を隠したオルゴールを父から託されたルリ子は、脱出に成功する。
だがスパイに追われる内にオルゴールを川に落としてしまう。
北条誠の同名小説を題材に、井上梅次が監督した子供向けミュージカル映画。
浅丘ルリ子のデビュー作としても知られる。
1954年(昭和29年)製作再開を果たした日活の初のカラー作品として鳴り物入りで製作された。
科学者の父の発明を狙うスパイ団に追いかけられるルリ子と、孤児院の少年たちの活躍を描く。
フランキー堺、有島一郎ら芸達者な喜劇人の笑い、北原三枝のバレエ、少女歌手だった安田祥子が
ルリ子の歌声を担当するなど、歌あり、笑いあり、見どころタップリの冒険ミュージカル映画である。
日活が再開した当初は、純愛路線を好んだせいもあり、浅丘ルリ子、芦川いづみ、和泉雅子、
そして吉永小百合が育成され、純情青春映画全盛の一時期があった。
しかし、1960年代半ば以後になると、ほとんど全作品がアクション映画で占められるようになり、
女優はたいていヤクザの情婦役にされてしまったたため、いつしかみな他社に行ってしまうことになる。
製作 日活
監督 井上梅次 原作 北条誠