虹 1970年(昭和45年) ドラマ傑作選


太平洋戦争が始まって一年半あまり。
三谷かな子(南田洋子)は、食糧買い出しに行き、大根やニンジンなどを、ねんねこで包み、
正ちゃん帽をかぶせて帰る途中、駅で刑事(伊東四朗)に見つかり、没収されそうになった。
夫や子供が家で病気で寝ている、と訴えて無事に帰ることができた。
夫の久志(仲谷昇)は、大学の考古学講師で、世事にうとい好人物。
祖母・はつえ(岸輝子)は、筋金入りの賢夫人だった。かな子はこうした家族を愛していた。
音楽や絵が好きだったが、戦時下の主婦となってみると、これらの趣味を伸ばすという夢は
いつとはなしにつぶれてしまっていた。
そのうえ思想統制が厳しくなり、出版社に勤めていた夫の友人・笹川(鈴木智)が警察に
連れて行かれるという事件も起きたのだった…。
戦中戦後の苦しい時代を耐え抜いた平凡な主婦が主人公。
原作者、田中澄江の自伝的要素の強い作品である。
人のいい主人、病弱な4人の子供を抱えながら、疎開や買い出しなどを経験して
たくましくなっていく主婦・かな子の姿は、共通の体験を持つ主婦層の共感を呼んだ。
この当時は、視聴者もまた、戦争を体験し、戦後を生き抜いてきた世代が大多数を
占めていたのである。
長女・かおるを演じた小柳ルミ子(17歳)は、八重歯の可愛さで人気を集めた。
宝塚音楽学校を首席で卒業したが「ドラマや歌で、もっと幅広く活躍したい」と
宝塚歌劇団に進むのをやめ、NHK朝ドラのオーディションを受け合格。
もともと女優志望だったが、本作「虹」の出演で、その念願が叶った形となった。
(制作)NHK(原作・脚本)田中澄江
(配役)三谷かな子(南田洋子)夫・久志(仲谷昇)祖母・森下はつえ(岸輝子)母・ひろの(滝花久子)
久志の父・久友(中村芝鶴)長女・三谷かおる(小柳ルミ子/湯本明子)次女・三谷みどり(永野裕紀子)
長男・三谷晃(古谷一行/加藤信一)次男・三谷清志(小林尚臣/矢崎知紀)お手伝い・上山光子(田所陽子)
久志の友人・笹川芳樹(鈴木智)刑事(伊東四朗)
