おんな太閤記 1981年(昭和56年) ドラマ傑作選
永禄3年(1561年)5月、織田信長は大群を率いて上洛する今川義元を
桶狭間にて討ち取り、天下統一への道を歩み始めた。
その戦は、足軽・木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)にも運命的な戦だった。
生涯伴侶となる、足軽組頭の養女ねねと出会ったのだった。
翌年、藤吉郎は、ねねと祝言をあげた。この時、藤吉郎25歳、ねね14歳。
一介の足軽では、板張りの床に藁にくるまるのが精一杯だった。
だが、ねねにとって好きな夫と枕を並べて寝られるだけで幸せだった。
橋田寿賀子の書下ろし脚本。
初めてひとりの女性を主人公に据えた物語で、佐久間良子が演じる豊臣秀吉の
正室・ねねの波乱万丈な生涯が描かれる。
西田敏行扮する恰幅のよい秀吉が良き夫として、持ち前のコミカルな芝居で熱演。
秀吉がねねを「おかか」と呼ぶなど、橋田が得意とするホームドラマの要素が
巧みに取り入れられ、平均視聴率31.8%と高い人気を博した。
秀吉の臨終シーン。病気を押し、ねねと二人で庭を散策していた秀吉が突然倒れ、
ねねの腕の中で静かに息を引き取る。
本来なら、大広間で分厚い布団をかけられ「なにわのことも夢のまた夢」と辞世の句が
詠まれるのが定番だった。
歴史ものを超えた夫婦話として完結させようという、作り手の思いが伝わる作品であった。
(制作)NHK(原作・脚本)橋田寿賀子
(配役)ねね(佐久間良子)豊臣秀吉(西田敏行)なか(赤木春恵)豊臣秀長(中村雅俊)あさひ(泉ピン子)
淀殿(池上季実子)織田信長(藤岡弘)お市(夏目雅子)徳川家康(フランキー堺)前田利家(滝田栄)