サンダカン八番娼館 望郷   1974年 (昭和49年)   邦画名作選
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女性史を研究する三谷圭子(栗原小巻)は、取材のため九州の天草を訪れる。

彼女はそこで、サキと名乗る一人の孤独な老婆(田中絹代)と出会う。

その老婆は、かつてボルネオのサンダカンという町に出稼ぎに行った日本人娼婦だった。

サンダカンでの彼女の過去はあまりにも辛く悲しいものだった。

辛酸の半生を経た彼女は、今もなお、あばら家で孤独に生活していながら、微笑みを

もって耐えており、自分と住もうとしない息子の健康だけを祈って暮らしていた。



1972年(昭和47年)筑摩書房から出版された山崎朋子の同名実話小説の映画化。


日本が貧しかった明治、大正期、多くの女性が東南アジアなどに娼婦として出稼ぎに行った。

彼女たちは、金を稼いで帰国すると「からゆき」と呼ばれて差別された。


本作は、ボルネオのサンダカンという町に出稼ぎに行った日本人娼婦たちの人生を掘り下げて

描き出した作品であり、とりわけ老いた元からゆきを演じた田中絹代の名演が光る。


なお現在、日本と東南アジアの国々とは、一面から見れば、日本の男たちが一方的に

アジアの娼婦を買うという関係だが、かつては日本の娼婦たちも、アジアの男たちに

買われていた事実に気づかされるのである。



  製作   東宝 

  監督   熊井啓   原作  山崎朋子

  配役    三谷圭子   栗原小巻       おフミ   水原英子        竹内秀夫    田中健 
      北川サキ    田中絹代       太郎造   小沢栄太郎        一條実孝    信欣三 
      北川サキ   高橋洋子       モト   神保共子       サト(サキの母) 岩崎加根子
      おキク    水の江滝子        遣手婆   山田孝子      矢須吉(サキの兄) 浜田光夫

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