三等重役   1952年(昭和27年)     邦画名作選

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南海産業の前社長・奈良が公職追放され、桑原(河村黎吉)が社長の座に着いた。いわゆる「三等重役」である。

奈良の社長復帰は、本人が脳溢血で倒れたため、困難となってしまった。ほっと胸をなで下ろす桑原。

ある時、東京支店の視察のため出張することになり、人事課長の浦島(森繁久彌)を連れて行くことにした。

だが、同行する得意先の藤山社長(進藤英太郎)は、おこま(藤間紫)という愛人らしき女性を同伴していた。

バツの悪い立場になった桑原社長と浦島は、東京駅に降り立って、さらなる厄介事に巻き込まれる事になる。

何と、藤山社長夫人(岡村文子)が、夫の行動を怪んで、飛行機で先回りして待ち受けていたのであった。

とっさの機転で、男同士の暗黙の了解が成立し、おこまは、桑原社長夫人という事になったのだが…。



1951年(昭和26年)週刊誌「サンデー毎日」に連載された源氏鶏太の同名小説の映画化。


戦後、占領軍は、戦争中社長の座にあった者を公職追放した。その結果、さしたる権威も実力もない
サラリーマンが社長に繰り上がった。

これが「三等重役」で、当時流行語になると同時に、サラリーマン時代の到来を告げることとなった。


映画では、長年松竹で下町の庶民の役を得意としてきた河村黎吉が、この三等重役を飄々と演じているが、
社長の貫禄がないのに、やたら威厳をとりつくろうところで笑わせる。

この社長にペコペコ頭を下げながら、抜け目なく操縦してゆく人事課長を演じたのが森繁久彌である。

この小器用に立回る中間管理職の裏表を、笑いとペーソスをにじませて表現した演技は、当時汗水垂らして
働いていたサラリーマン世代の共感を得て、森繁は一気にスターダムにのし上がった。


本作はその後「社長」シリーズと名を改め、1971年までに37本つくられ、東宝のドル箱シリーズとなった。



 
  製作  東宝

  監督  春原政久   原作  源氏鶏太

  配役   桑原社長 河村黎吉   藤山社長 進藤英太郎 奈良前社長 小川虎之助
      夫人・千里 沢村貞子   夫人・京子 岡村文子 夫人・とり子 三好栄子
      浦島人事課長 森繁久彌   おこま 藤間紫 娘・由起子 関千恵子
      同夫人    千石規子         若原    小林桂樹          お鶴    坪内美子 

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