白い巨塔 1978年(昭和53年) ドラマ傑作選
浪速大学医学部では、東教授(中村伸郎)が定年退官となるため、
そのポスト争いが水面下で激化していた。
東の教え子である財前五郎(田宮二郎)が最有力候補だが、
傲慢不遜な態度ゆえ東教授に疎まれていた。
ある日、同期の里見(山本学)から頼まれ、財前は胃癌患者の手術を執刀する。
術後に患者は苦しむが、財前はその原因を探ろうとせず、
患者は間もなく亡くなってしまう。
財前は後任教授の選挙戦を勝ち抜き晴れて教授となる。
そんな矢先、死亡した患者の遺族が財前と病院を相手取り、医療訴訟を起こした。
山崎豊子の同名小説をドラマ化。大学医学部を舞台に医学界の醜い内幕を描く。
訴訟はマスコミに注目されたが、権威を守ろうとする大学側の証人は、財前を無罪にしてしまう。
だが転移の疑いがあるのに精密検査を怠り、選挙戦にかまけて患者を置き去りにする行為は
医師として許されるべきではなく、誰もが当然、彼は有罪であると考えるだろう。
ドラマは、保守的、権威主義的な医療現場がはらむ問題に鋭く切り込んだ社会派作品となった。
主演の田宮二郎は、番組収録後に、極度の躁うつ症から猟銃自殺し、この作品が遺作となった。
まだ放送中の出来事で、田宮の自殺により、番組の視聴率がはね上がった。
(制作)フジテレビ、田宮企画(原作)山崎豊子(脚本)鈴木尚之
(配役)財前五郎(田宮二郎)里見脩二(山本学)東貞蔵(中村伸郎)鵜飼雅一(小沢栄太郎)柳原弘(高橋長英)
亀山君子(松本典子)東佐枝子(島田陽子)財前杏子(生田悦子)里見三知代(上村香子)里見清一(岡田英次)