しとやかな獣 1962年 (昭和37年) 邦画名作選
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元海軍中佐の前田時造(伊藤雄之助)は郊外にある団地の一室に妻と二人の子供と住んでいる。
息子は会社の経費を横領し、娘は作家の愛人となり、親のために金の工面をしている。
ある日、息子の実(川畑愛光)は、会社の会計係で愛人の幸枝(若尾文子)から別れ話を切り出される。
幸枝は、念願だった旅館が開業の運びになったので、会社を辞めるというのだ。
夫に死なれた子持ちの幸枝にとって唯一の道は体を張って生きることだった。
彼女はしたたかな女で、肉体をエサに男たちに大いに貢がせていたのだった。
幸枝への嫉妬で怒り狂った実は報復を目論むが…。
団地の一室を狂言舞台に見立て、そこで繰り広げられる男女たちの色と欲に憑かれた狂宴。
風刺喜劇の鬼才・川島雄三が、人間の業を皮肉とユーモアを交え、鮮やかに炙り出した異色作。
若尾文子の役どころは、次々と男を騙して金を貢がせ、遂に旅館の女主人に納まる子持ちの美しき事務員。
若尾は悪女を演じるにあたって、右眼を長い髪で覆うという、奇抜で妖しげなヘアスタイルに挑戦した。
本来、欠点ともいえる左眼下にあるシワを強調するため、敢えて顔半分を隠し悪女になりきったという。
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製作 大映
監督 川島雄三
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配役 |
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三谷幸枝 |
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若尾文子 |
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前田実 |
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川畑愛光 |
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香取一郎 |
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高松英郎 |
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前田時造 |
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伊藤雄之助 |
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前田友子 |
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浜田ゆう子 |
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神谷栄作 |
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船越英二 |
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前田よしの |
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山岡久乃 |
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吉沢駿太郎 |
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山茶花究 |
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マダムゆき |
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ミヤコ蝶々 |
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