盲目のお琴を慕う奉公人の佐助。
三味の指づかいと撥さばきを、見よう見まねで再現してみる。
店の者が寝静まった深夜。物音は一切立てられない。
真っ暗闇で無音の独り稽古が続く。
お琴は目が見えない。佐助は目が見えるけれども、暗闇では目が利かない。
音も出せないのだから、耳も聴こえないのと同じ。
いっそのこと「見えない人になってしまいたい」
絶対の虚空と静寂に身を置きたいのだ。お琴と一つになれるのならば。
常軌を逸した恋の道行き、まさに「恋は盲目」
谷崎潤一郎の「春琴抄」を、名匠・伊藤大輔が京マチ子を主演に迎えて映像化した文芸大作。
あふれんばかりの情感と、匂うが如きエロチシズム。ここに華ひらく谷崎文学の精髄。
製作 大映
監督 伊藤大輔