修羅八荒 第一篇 1926年(大正15年) 邦画名作選 |
京都二条城から四千両の御用金が盗まれ、警護役の旗本・浅香恵之助(河部五郎)が内密に捜索の旅に出る。
折しも警護役の同僚・三輪与一郎(葛木香一)が何者かに殺害され、その弟・滝太郎(岡崎晴夫)は、
兄の変死を知って間もなく、浅香恵之助が姿を消したことを知り、兄の仇と誤解し復讐を誓う。
一方、盗難現場に落ちていた印ろうを手がかりに、江戸をめざす恵之助の前に、数人の覆面武士が行く手を塞ぐ。
1925年(大正14年)朝日新聞に連載された行友李風の同名時代小説の映画化。
徳川幕府の転覆を狙う盗賊一味を追う使命を帯びた旗本・浅香恵之助の活躍を描く時代活劇。
この映画は、日活、マキノ、松竹の三社競作となったが、特に日活は好調で、第六篇まで制作された。
回を追うごとに観客は熱狂し、遂には巻頭タイトルが映写されると、どよめく館内から一斉に拍手が
沸き起こるという光景さえ見られた。
浅香恵之助を演じた河部五郎の線の太さ、堂々たる風格、真正面からひた押しに迫るその力強さ、
それらは、瞬くうちに多くのファンの心をとらえたのである。
ヒロインの江戸節お駒を、当時人気絶頂の酒井米子が演じている。河部演じる浅香恵之介に思いを寄せる
旅の芸者役で、三味線をかかえてかぶった手拭の端をくわえ、切ない思いを抱いて浅香を追う。
その姿がぞっとするほどあだっぽく、純情型の娘役も演じたが、むしろ鉄火肌の姐御や女賊などに独特の
魅力を発揮し、時代劇の女王と称された。
製作 日活
監督 高橋寿康 原作 行友李風
配役 | 浅香恵之助 | 河部五郎 | 江戸節お駒 | 酒井米子 | |||||||||
三輪与一郎 | 葛木香一 | 銀八 | 尾上鶴五郎 | ||||||||||
三輪滝太郎 | 岡崎晴夫 | 嵐冠子 | 実川延車 | ||||||||||
鏡月院 | 秩父かほる | 陣場弥十郎 | 尾上多見太郎 |