天国と地獄   1963年(昭和38年)      邦画名作選
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ナショナルシューズ重役・権藤の息子が何者かによって誘拐された。
が、被害にあったのは実は運転手の息子だった。

犯人から三千万円を要求された権藤は、ためらいつつも取引に応じる。
犯人は、特急こだまに身代金を持って乗り込むよう要求してくるが…。


黒澤明が、誘拐犯と捜査陣の息詰まる対決を描いた社会派サスペンス映画の金字塔。
映画公開後、手口を真似た誘拐事件が多発し、社会問題となったいわく付きの作品。

身代金受け渡しで使われた列車は、国鉄から特急こだま一編成をまるごと借り切り、
実際に、東京−熱海間の東海道本線を走らせて撮影が行われた。

酒匂川の鉄橋の河川敷で、誘拐された子供の姿を確認後、身代金のケースを投下するのだが、
この間が、列車に乗り込んだ刑事たちの、犯人の手がかりを得られる唯一のチャンスだった。

わずか十数秒間のシーンだが、映画史上に残るサスペンスとスリル溢れた映像となった。

ラスト、犯人の竹内が、被害者権藤に面会を求め、犯罪に至った経緯を吐露するシーン。
貧乏暮らしの自分の隣に、富貴を見せびらかしている男がいるのが許せなかったという。

貧困から医者の道の挫折を経験し、苦悩した末、犯罪を引き起こした犯人の竹内。
貧困から重役に上り詰めたが、破産を余儀なくされ、再び立ち直ろうとする権藤。

それぞれの選んだ道で明暗が分かれるという「野良犬」と同じテーマが再現されている。


  製作  東宝
  監督  黒澤明

  配役   権藤金吾 三船敏郎 運転手青木 佐田豊 荒井刑事 木村功
      妻伶子 香川京子 戸倉警部 仲代達矢 田口刑事 石山健二郎
      秘書河西 三橋達也 犯人竹内 山崎努

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