天国に結ぶ恋   1932年(昭和7年)     邦画名作選
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大学生の津田一郎(竹内良一)は、教会の祈祷会で藤山綾子(川崎弘子)と知り合う。

二人は、互いに好意を持ち、交際を深めていったが、綾子に縁談が持ち上がる。

一郎の父親は、一郎と綾子の結婚をまとめるべく、藤山家に出向いたが無駄であった。

将来に悲観し、大磯で落ち合った二人は、天国へと旅立つのだった。



1932年5月、慶大生と良家の娘が大磯駅近くの山で心中。天国に結ぶ恋と話題になった。

この事件を題材に撮った本作「天国に結ぶ恋」は、一ヶ月後に封切られて大ヒットした。


松竹若手スター・竹内良一と、可憐楚々たる美人女優・川崎弘子が、主演の二人を演じ、
その哀切極まる悲恋の顛末は、大いに天下の子女の紅涙を絞った。


主題歌もよく、伏見晁の脚本、五所の演出、共に際物の線を遥かに超える佳篇であった。

だが映画の公開後、同じような心中が続発し、社会問題に発展してしまった。


とりわけ閑静な別荘地であった大磯は、一躍「恋のメッカ」「心中の大磯」となった。

名物の「夫婦饅頭」や「記念絵葉書」なども売り出され、心中現場を見に来る人々で、
大磯の町はごった返したといわれる。



 
 
 製作   松竹

  監督   五所平之助

  配役    津田一郎 竹内良一 綾子の父・平助 武田春郎
      父・弘定 藤野秀夫 綾子の母・志満子 葛城文子
      一郎の妹・光子 光川京子 綾子の兄・耕作 山内光
      藤山綾子 川崎弘子 妻・さえ子 若水絹子

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