天と地と 1969年(昭和44年) ドラマ傑作選
天文16年(1547年)甲斐の大名・武田信玄は、領土拡大を期して隣国・北信濃を攻めた。
信玄はすでに南信濃を手中に収め、北信濃から越後をも狙わんとする勢いであった。
敗退を続ける北信濃の大名・村上義清は、やむなく越後の上杉謙信に援軍を要請。
謙信はこれに応えて挙兵し、天文22年(1553年)両軍は川中島(長野県)で対峙する。
戦いは双方が総力戦を展開し、謙信みずからが大刀をもって、信玄と一騎打ちをする
というほどの激戦であった。
両軍とも多数の戦死者を出し、勝敗は決しなかったが、北信濃は以降武田方の領有に帰した。
だが川中島における長期の戦いは、上杉・武田両氏にとって、兵力を消耗させただけであり、
最終的に、織田信長に上洛の先を越される結果となった。
戦国の動乱の時代を背景に、上杉謙信と武田信玄、両名将の人間模様をダイナミックに描く。
謙信役には「太閤記」で石田三成を演じて一躍人気を得た石坂浩二、信玄役には、
同じく「太閤記」で織田信長を演じて注目を集めた高橋幸治が抜擢された。
特に人気を博したのは、謙信の子供時代を演じた中村光輝(三代目・中村又五郎)である。
父親・長尾為景(滝沢修)に疎まれながら、健気に成長する様が多くの視聴者の涙を誘った。
川中島合戦のロケが行われたのは「相馬野馬追」で知られる福島県相馬市の郊外。
大河ドラマ史上、初のカラー作品だけにロケにも気合いが入り、地元の野馬追騎馬会のメンバーら
150名という、当時最大数のエキストラが参加、ヘリも出動したという。
本作の平均視聴率は25.0%、最高視聴率は32.4%という好成績を収めた。
(制作)NHK(原作)海音寺潮五郎(脚本)中井多津夫
(配役)上杉謙信(石坂浩二、幼年時代:中村光輝)長尾為景(滝沢修)袈裟御前(新珠三千代)松江(有馬稲子)
宇佐美定行(宇野重吉)乃美(樫山文枝)武田信玄(高橋幸治)村上義清(北村和夫)織田信長(杉良太郎)