美しき鷹  1937年(昭和12年)     邦画名作選

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池野家の養女・弓子は、若く美しいが、わがままで自由奔放な性格である。

だが、池野の娘・雅子と婚約している真庭は、そんな弓子の性格に魅力を感じていた。

ある日、真庭は弓子と約束して銀座で会うことになった。
だが彼の待っているところへ現れたのは、雅子だった。

雅子は、弓子を待っていた彼を知ると、憤然として指輪を突き返してしまう。



菊池寛原作の恋愛小説「美しき鷹」は、美しく聡明なヒロインが、その自由奔放な
性格が災いして、本人の意志に反して、周囲と軋轢を引き起こしてしまう物語である。

本作は、東宝、日活、新興の三社が、同時期にそれぞれ映画化して話題となった。


当時は、東宝と日活の両社は、犬猿の仲であった。
というのも、お互いに人気女優の引き抜き合戦に火花を散らしていたからである。

東宝が、宝塚出身の新人・霧立のぼるを主演に抜擢したのは、日活が同じく
宝塚出身のスター・轟夕起子を主演に据えたことへの対抗意識からであった。


この主演対決は、東宝対日活という構図とともに、世間の注目を大いに集めたのである。

同時公開された本作は、それぞれ大ヒットを記録し、ヒロイン弓子については、日活の
轟夕起子が人気を博したが、興行では東宝に軍配があがり、両社面目は保たれたようだ。



 

 
  製作  東宝

  監督  山本嘉次郎     原作   菊池寛

  配役    安宅弓子 霧立のぼる 池野子爵 汐見洋 井上恭一 佐伯秀男
      村岡とし子 椿澄枝 娘 雅子 神田千鶴子 真庭英三 北沢彪

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