若い人   1937年(昭和12年)     邦画名作選
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江波恵子(市川春代)は、ミッション・スクールに通う女学生。

頭は良いが奔放な性格で、どの先生からも敬遠されている。

彼女は、父親を知らず、母親(英百合子)と二人暮らし。

間崎先生(大日方伝)は、そんな恵子の境遇に理解と同情を示している。

感じやすい恵子の方も、間崎先生には信頼の情を示したりしている。

一方、橋本先生(夏川静江)は、恵子を特別扱いすべきでないと言う。

修学旅行が終了したあるとき、恵子が妊娠しているという噂が立った。

しかもその相手は間崎先生だというのだ…。



石坂洋次郎の同名小説を、八田尚之が脚色、豊田四郎が監督した青春恋愛ドラマ。

この映画が公開された1937年(昭和12年)は、日中戦争が始まり、戦時体制が
強化されつつあった時期であった。

そんな息の詰まるような時代に、女学生と教師の恋愛という、相当きわどい内容を
題材としたこの映画は、驚くほどの新鮮さを持って、観客にアピールした。


ヒロイン江波恵子は、母親の恋愛遍歴のなかで生まれた私生児であり、母親との
間には、冷たい対立と反抗だけが存在していた。

そんな恵子の多感で激しやすい、奔放な性格、それを市川春代が実に生き生きと
演じ、先生役の先輩・夏川静江を完全に食うありさまだった。

また当時の若者たちも、ミッション・スクールを舞台にしたこの作品に、新鮮な
魅力を感じながら、劇中の少女・恵子の大胆な行動に心密かに憧れたのである。


 
 
 製作   東宝

  監督   豊田四郎  原作 石坂洋次郎

  配役    江波恵子 市川春代 校長 稲田勝久
      間崎先生 大日方伝 佐々木先生 山口勇
      橋本スミ先生 夏川静江 山形先生 伊藤智子
      恵子の母・ハツ 英百合子 橋本の義母 林千歳

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