4月9日   歴史のヒーロー (5) ネルソン・マンデラ       歴史年表     ヨーロッパ史      人名事典)(用語事典)
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島の南端に立つと、ケープタウンの市街がくっきりと見えた。

ビルがひとつひとつ数えられる。

「近く見えるだろ。しかしあそこまで11キロある」島のガイドは言った。

海流が速く、サメも多い。泳いで渡るのはむりだという。

だが、マンデラは何度も、脱獄を考えたという。


黒人解放闘争の指導者、ネルソン・マンデラは1964年、反逆罪で終身刑の判決を受け、ロベン島の監獄に投獄された。

最初の脱獄話は島に来て5年目の1969年だった。
着任したばかりの白人看守が、彼に脱獄を持ちかけてきたのである。

合いかぎで建物からぬけ出す。海岸に手こぎボートが用意してある。
それでケープタウンに行き、飛行機で国外に出る―。

マンデラは気を動かされるが、仲間は「危ない話だ」と止める。話は立ち消えになった。

あとで、看守が実は秘密警察の人間だったと分かる。わなだったのだ。



                       



ネルソン・マンデラ Nelson Rolihlahla Mandela(1918〜2013)

南ア共和国の黒人政治家。

アフリカ人民族会議(ANC)指導者として白人政府による人種隔離政策(アパルトヘイト)に抵抗、黒人の権利獲得運動を指揮。
1964年、逮捕され終身刑判決を受けたが、1990年釈放。

1994年、初の全人種参加による議会選挙でANCが第一党になり、大統領に選出。340年間にわたる白人少数支配に終止符を打った。
1993年、白人のデ・クラーク大統領(当時)とともにノーベル平和賞受賞。


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      マンデラの名もなき看守(Goodbye Bafana)2007年(米)

1968年、アパルトヘイト政策下の南アフリカ共和国。白人看守のグレゴリーは、反政府運動の首謀者マンデラが
収監されているロベン島の刑務所に赴任する。彼もまた、黒人を下等な人間と見なすひとりだった。

彼は、マンデラの故郷の言葉であるコーサ語を操ることができたため、マンデラの秘密の会話や手紙の内容を
チェックするよう命じられる。しかし長く接していく中で、彼のマンデラに対する見方は変わり始める。

グレゴリーは、いつの間にか知性と人間愛にあふれたマンデラに魅了され、彼が目指す平等な社会に憧れていく。
そして、これは以降何十年も続く、マンデラとの奇妙で特別な関係の始まりであった…。

史実に基づく映画。投獄されていた後の南アフリカ大統領であるマンデラとその看守との交流と絆を描く。
当時存命であったネルソン・マンデラという人物を、デニス・ヘイスバートが魂を込めて熱演している。

(監督)ビレ・アウグスト(Bille August)
(出演)デニス・ヘイスバート(Dennis Haysbert)ジョセフ・ファインズ(Joseph Fiennes)