バート・ランカスター(Burt Lancaster)

生年月日 : 1913/11/02
出身地 : アメリカ/ニューヨーク州
没年 : 1994/10/20

1946年「殺人者」で映画デビュー。

精悍でエネルギッシュな魅力を活かして「真紅の盗賊 1952」「ベラクルス 1954」など、アクション映画で活躍。

「真紅の盗賊」は、カリブの海賊が活躍する海洋アクション映画。ランカスターが若い頃、サーカス団で
培ったアクロバットな身のこなし、軽業が存分に盛り込まれた作品となっている。

1960年「エルマー・ガントリー」でアカデミー主演男優賞受賞。



以降はヨーロッパ映画にも進出して、ヴィスコンティの「山猫 1963」「家族の肖像 1976」やベルトリッチの
「1900年 1976」などに出演、一貫して精力的な活動を展開した。




代表作品

      OK牧場の決斗(GUNFIGHT AT THE OK CORRAL)1957年(米)

保安官ワイアット・アープ(ランカスター)は、牛泥棒クラントン一味に末弟を闇討ちされたため、
肺病やみの賭博師ドク・ホリディ(ダグラス)らの助っ人を得て、一味とOK牧場で対決する。

西部きっての早撃ちガンマンで、正義感溢れる保安官ワイアット・アープを演じたランカスターは、
観客の期待を裏切らない寡黙で頼れる硬派のヒーロー振りを遺憾なく発揮している。

一方、飲んだくれで女たらしだが、やはり凄腕ガンマンのドク・ホリディに扮したダグラスは、
タフな男振りの中にも知的な陰りを見せて、実にスマートでダンディな色気を醸し出している。

(監督)ジョン・スタージェス(JOHN STURGES)
(出演)バート・ランカスター(BURT LANCASTER)カーク・ダグラス(KIRK DOUGLAS)
ロンダ・フレミング(RHONDA FLEMING)ジョー・ヴァン・フリート(JO VAN FLEET)
 
       
       
    ニュールンベルク裁判(Judgment at Nuremberg)1961年(米)

第二次大戦後、ナチスの戦犯を対象にした裁判が開かれる。被告たちは無罪を主張、またドイツ側弁護人は、
もし被告が有罪なら、ナチスの指導のもと、戦争に邁進した全国民も同罪ではないか、という弁論を張る。
被告のほとんどは、上からの命令に従っただけだと主張したが、判決は、被告全員に終身刑が下った。

バート・ランカスターは、ワイマール憲法の起草に加わったナチスの法学者ヤニングの役柄で、人種差別や
ユダヤ人に対するホロコーストに協力した被告の一人として登場している。

(監督)スタンリー・クレイマー(Stanley Kramer)(出演)スペンサー・トレイシー(Spencer Tracy)
バート・ランカスター(Burt Lancaster)マクシミリアン・シェル(Maximilian Schell)
マレーネ・ディートリヒ(Marlene Dietrich)ジュディ・ガーランド(Judy Garland)
モンゴメリー・クリフト(Montgomery Clift)リチャード・ウィドマーク(Richard Widmark)
       
       
    山猫(Il gattopardo)1963年(伊/仏)カンヌ国際映画祭グランプリ

サリーナ公爵(ランカスター)は、宗主国スペインからシチリア公の称号を得て、イタリアのシチリア島を
支配する名門貴族。イタリア貴族の多くは、宗主国に権威づけられることで地位を得た支配階級であった。

だが、1789年に勃発したフランス革命の余波は欧州全体に拡がり、イタリア半島も例外ではなかった。
やがてガリバルディの率いる革命軍がシチリアへ上陸すると、貴族たちは怯えて暮らすようになった。

ただ貴族というだけで広大な領地と屋敷を乗っ取られ、代々受け継がれてきた骨董品や美術品を壊され、
金目のものは奪われ、裁判もなく殺される。貴族側にとっては、これが革命以来の恐怖であった。

ある日サリーナ公爵は、甥のタンクレディ(ドロン)が、革命軍に参加したとの報を聞いてがく然とする。
本作は、イタリア統一革命を背景に、シチリアの名門貴族に忍び寄る落陽の日々を描いた絢爛絵巻である。

(監督)ルキノ・ヴィスコンティ(Luchino Visconti)(出演)バート・ランカスター(Burt Lancaster)
アラン・ドロン(Alain Delon)クラウディア・カルディナーレ(Claudia Cardinale)
       
       
    大空港(Airport)1970年(米)

ローマ行きの旅客機内に、爆弾が持ち込まれているという通報が入った。機長と搭乗スタッフは、
爆弾の入ったアタッシュ・ケースを確保しようとするが、犯人は爆弾もろとも自爆してしまう。

そしてその衝撃で、旅客機の胴体に亀裂が入り、空中分解の危機が訪れる。急遽、旅客機は出発空港
へ向けて転回する。しかし、空港は猛吹雪のため一切の機能を停止していた…。

国際便にトラブルが発生し、機長らは決断を迫られるという航空機パニック映画の先鞭をつけたヒット作。
舞台となる「リンカーン国際空港」は、シカゴのオヘア空港をモデルとしているが、架空の存在である。
これは滑走路の不備など問題の多い空港という設定のため、実在の空港の名前が使えなかったからだ。

実際、無銭搭乗の客がいたり、犯人が手荷物チェック無しで、爆弾入りアタッシュ・ケースを機内持ち込み
できるなど、セキュリティチェックが相当甘いため、事故は起こるべくして起こったと言えるだろう。

(監督)ジョージ・シートン(George Seaton)(出演)バート・ランカスター(Burt Lancaster)
ジーン・セバーグ(Jean Seberg)ディーン・マーティン(Dean Martin)ジャクリーン・ビセット(Jacqueline Bisset)
 
       
       
    ダラスの熱い日(EXECUTIVE ACTION)1973年(米)

元CIA長官(ランカスター)宅に、物々しい面子の男たちが集まって密談をしていた。彼らはケネディの政治に
不満を持つCIA要員や軍人たちで、彼を失脚させるには暗殺するしかないという結論に達する。

アメリカの政治・経済構造は、戦争や紛争によって利益を得る軍産複合体によって支えられている。彼らにとって、
ベトナム戦争に反対するなど、ハト派のケネディは、はなはだ厄介な大統領だった。

白昼の遊説パレードの最中に狙撃される、という衝撃的な事件となったが、これは以降の大統領へのみせしめ、
つまり彼らに逆らうとどうなるか、という警告の意味もあったとされている。

(監督)デヴィッド・ミラー(DAVID MILLER)
(出演)バート・ランカスター(BURT LANCASTER)ロバート・ライアン(ROBERT RYAN)
       
       
    家族の肖像(Gruppo di famiglia in un interno)1974年(伊/仏)

教授(ランカスター)は、ローマのアパルトマンで書物と絵画に囲まれ、悠々自適の日々を送っている。
そこへ、見知らぬ中年女性ビアンカ(マンガーノ)が現れ、教授が所有する上の階の部屋を借りたいという。
理由を聞けば、彼女の年若い愛人コンラッド(バーガー)を住まわせるためだという。

教授は断るが、しつこく頼まれて仕方なくコンラッドを住まわせることになった。だがやがてビアンカの娘や
その恋人までが部屋に雪崩れ込んでくる。教授の平穏な生活は、すっかりかき乱されてしまうのであった。

しかし迷惑一方だと思っていた間借人コンラッドは、じつは絵画を理解し、クラシック音楽を語る人物で、
彼との会話に、教授の心はふと安らぐのだった。やがて教授の心に「家族に囲まれたい」という淡い願いが蘇る。
教授には離婚した妻、そして優しい母親もいた。長年、孤独を頑固に守りながらも、自分の心に抱き続けていた
憧れは、じつは「家族」だということに気づくのだった。

(監督)ルキノ・ヴィスコンティ(Luchino Visconti)(出演)バート・ランカスター(Burt Lancaster)
ヘルムート・バーガー(Helmut Berger)シルヴァーナ・マンガーノ(Silvana Mangano)
 
       

殺人者(The Killers)1946年
真昼の暴動(Brute Force)1947年
砂漠の怒り(Desert Fury)1947年
暗黒街の復讐(All My Sons)1948年
私は殺される(Sorry, Wrong Number)1948年
暴れ者(Kiss the Blood Off My Hands)1948年
裏切りの街角(Criss Cross)1949年
欲望の砂漠(Rope of Sand)1949年
怪傑ダルド(The Flame and the Arrow)1950年
復讐の谷(Vengeance Valley)1951年
アメリカ野郎(Jim Thorpe -- All-American)1951年
タルファ駐屯兵(Ten Tall Men)1951年
真紅の盗賊(The Crimson Pirate)1952年
愛しのシバよ帰れ(Come Back, Little Sheba)1952年
南海ピンク作戦(South Sea Woman)1953年
地上より永遠に(From Here to Eternity)1953年
白人酋長(His Majesty O'Keefe)1953年
アパッチ・最後の戦い(Apache)1954年
ベラクルス(Vera Cruz)1954年
ケンタッキー人(The Kentuckian)1955年
バラの刺青(The Rose Tattoo)1955年
空中ぶらんこ(Trapeze)1956年(ベルリン国際映画祭主演男優賞)
雨を降らす男(The Rainmaker)1956年
OK牧場の決斗(Gunfight at the O.K.Corral)1957年
成功の甘き香り(Sweet Smell of Success)1957年
深く静かに潜航せよ(Run Silent, Run Deep)1958年
旅路(Separate Tables)1958年
悪魔の弟子(The Devil's Disciple)1959年
許されざる者(The Unforgiven)1960年
エルマー・ガントリー/魅せられた男(Elmer Gantry)1960年(アカデミー主演男優賞)
明日なき十代(The Young Savages)1961年
ニュールンベルグ裁判(Judgment at Nuremberg)1961年
終身犯(Birdman of Alcatraz)1962年(ベネチア映画祭主演男優賞)
愛の奇跡(A Child Is Waiting)1963年
山猫(Il Gattopardo)1963年
秘密殺人計画書(The List of Adrian Messenger)1963年
五月の七日間(Seven Days in May)1963年
大列車作戦(The Train)1964年
プロフェッショナル(The Professionals)1966年
インディアン狩り(The Scalphunters)1967年
泳ぐひと(The Swimmer)1968年
大反撃(Castle Keep)1969年
さすらいの大空(The Gypsy Moths)1969年
大空港(Airport)1970年
追跡者(Lawman)1970年
追撃のバラード(Valdez Is Coming)1970年
ワイルド・アパッチ(Ulzana's Raid)1972年
スコルピオ(Scorpio)1973年
ダラスの熱い日(Executive Action)1973年
真夜中の男(The Midnight Man)1974年
家族の肖像(Gruppio Di Famiglia in un Interno)1974年
ビッグ・アメリカン(Buffalo Bill and the Indians, or Sitting Bull's History Lesson)1976年
1900年(Novecento)1976年
カサンドラ・クロス(The Cassndra Crossing)1976年
合衆国最後の日(Twilight's Last Gleaming)1977年
ドクター・モローの島(The Island of Dr. Moreau)1977年
戦場(Go Tell the Spartans)1978年
ズールー戦争/野望の大陸(Zulu Dawn)1979年
アトランティック・シティ(Atlantic City, U.S.A)1980年
狂える戦場(La pelle)1980年
ローカル・ヒーロー/夢に生きた男(Local Hero)1983年
バイオレント・サタデー(The Osterman Weekend)1983年
トレジャーinメキシコ(Litttle Treasure)1984年
タフガイ(Tough Guys)1984年
戦慄の黙示録(Il giorno prima)1987年
ジブラルタル号の出帆(Rocket Gibraltar)1988年
フィールド・オブ・ドリームス(Field of Dreams)1989年