兄とその妹 1939年 (昭和14年) 邦画名作選
サラリーマンの間宮敬介は、妻とOLの妹がいる。
敬介は碁好きで、よく同じ碁好きの会社の重役の相手をさせられる。
ところが、そのことで同僚たちから妬まれてトラブルが起こる。
妹は、兄が同僚たちから妬まれていることを心配している。
そのために、兄の会社の重役から話のあった縁談をことわってしまう。
結局、同僚たちの誹謗中傷に失望した敬介は、会社を辞め、満州に旅立とうとする。
そして、満州の新天地に明るい明日を求めようとする兄に、従順に従う妻と妹。
この時代、家は国家の構成単位であり、家長である父や兄は家の主権者であった。
1931年(昭和6年)満州事変が勃発。翌年、日本の植民地である満州国が建国された。
これ以降、満州への移民が国策として進められていたのである。
当時日本人の最大の娯楽であった映画に描かれている事象は、国民生活の実態や個人の
心情をありのままに写し出しているわけではない、という点は留意しておく必要がある。
製作 松竹
監督 島津保次郎