安城家の舞踏会   1947年(昭和22年)       邦画名作選
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代々の名門華族である安城家に、戦争終結とともに悲劇が訪れる。

戦後の崩れゆく華族制度の中、最後に残った屋敷も借金のかたに手放すことに。

当主である忠彦は華族階級との決別の意を込め、最後の舞踏会を開く。



チェーホフの「桜の園」を題材に新藤兼人が脚色、吉村公三郎が映像化。

津島恵子のデビュー作としても知られる作品である。


華族は、明治政府発足時、天皇の側近として仕えていた家柄の役人を指す。
1869年(明治2年)華族の身分を与えられたのは約400家(2800人)である。

だが戦後、華族制度が廃止されることになり、名門安城家は憂き目を見ることになった。

映画は、華族を象徴する舞踏会を背景に、舞踏会に集まる人々の人生の悲哀が描かれる。


映画のラストは、自殺を図ろうとして失敗した当主・忠彦と次女敦子が二人で踊るシーン。

それは、古い生き方を捨て新しく生きようとする父娘の再出発へのステップであった。


次女敦子を演じた原節子は、これが松竹の初出演作。その天性の凛然とした美貌は、
気丈で前向きな令嬢という設定とも相応し、大いに精彩を放っていた。



 
 
  製作  松竹

  監督  吉村公三郎

  配役 安城忠彦 滝沢修 新川龍三郎 清水将夫
  長男正彦 森雅之 新川曜子 津島恵子
  長女昭子 逢初夢子 遠山庫吉 神田隆
      次女敦子    原節子               

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