浅草の灯   1937年(昭和12年)       邦画名作選

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大正時代の浅草。麗子(高峰三枝子)はオペレッタ劇場の売れっ子コーラスガールだった。

資金難に陥った劇場主の女座長(杉村春子)は、成金に麗子を売り飛ばして金を得ようと企んでいた。

しかし座員たちは、麗子と恋に落ちる画学生(夏川大二郎)を巻き込んで、座長の野望を阻止。

怒った座長は劇団を潰そうとするのだった。



浜本浩の同名小説を池田忠雄が脚色、島津保次郎が映像化。

主演の上原謙が、いつもの二枚目のやさ男とは打って変わって、喧嘩が滅法強いという、
颯爽たるヒーローぶりを披露している。

デビュー間もない高峰三枝子は、劇中で歌うシーンが注目され、翌年に歌手デビューを果たした。


当時、浅草は日本一の盛り場だった。12階の展望塔(凌雲閣)がそびえ、活動写真(映画館)や、
見世物小屋や、オペラ館が軒を並べて賑わっていた。

そしてそこは何よりも庶民の町であった。職工も月給取りも、学生も誰に気兼ねなく、
ギザ(50銭玉)一枚で、楽しく一日が過ごせる所だった。

この映画は、そんな浅草の、きらめく灯の中にひそんだ、人情と義侠と郷愁に彩られた
大正ロマンチシズムの風物詩である。

 
   

  製作  松竹

  監督  島津保次郎  原作 浜本浩

  配役 山上七郎 上原謙 女座長 杉村春子         佐々木紅光    西村青児 
  小杉麗子 高峰三枝子 吉野紅子 藤原か弥子         半田耕平    武田秀郎 
      神田長次郎    夏川大二郎          香取真一    笠智衆          お竜    坪内美子 

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