あした来る人 1955年(昭和30年) 邦画名作選
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八千代は、妻よりも登山が好きな夫に不満を持っていた。
ある夜、夫と言い争いになった彼女は、実家に帰ってしまう。
夫は夫で、妻のいない間にカラコルム登山の計画を立て始める…。
朝日新聞に連載された井上靖の同名小説を、川島雄三監督が映画化したもの。
冷えきった若夫婦の離婚問題を軸に、様々な人間模様が描かれる恋愛群像劇。
克平は、山と妻とどちらが大切かと聞かれて、迷わず「山」と答えるほど登山に打ち込んでいる。
登山オタクの夫に愛想を尽かした八千代は、実家に戻って、夫に対する不満を父親にぶちまける。
ある日、八千代は、カジカの研究に明け暮れる曾根二郎と出会い、曾根の素朴さに心を惹かれる。
だが、カジカの研究以外頭にないオタク青年・曾根との関係は、結局すれ違いに終わってしまう。
倦怠期を迎えた人妻は、自らの趣味に没頭する夫への不満を、他の男性への思慕に向けるのだが、
同じタイプの男をまた選んで失敗するという女の愚かさをシニカルに描いた川島雄三渾身の一作。
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製作 日活
監督 川島雄三 原作 井上靖
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