不信のとき   1968年(昭和43年)       邦画名作選

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商事会社に勤める浅井(田宮二郎)は、子供がないこと以外、何の不満もない生活を送っていた。

だが結婚生活も十年…何か新しい刺激を求めていた。


そんなある日、取引先会社の社長に誘われ、バーのホステス・マチ子(若尾文子)と知り合う。

やがて二人は男女の仲になり、マチ子は浅井の子供を産みたいといい、女の子を出産する。

だが、急性盲腸炎で入院した浅井の見舞いで妻と愛人が鉢合わせ、不倫が発覚してしまう。




一人の男をめぐり、女の火花を散らす妻と愛人を、岡田茉莉子と若尾文子が熱演している。

さらに、浅井の昔の不倫相手(岸田今日子)も登場し、母性をめぐる女の飽くなきエゴイズムが
展開されていく。

これらの妻と愛人の対決は、夫をめぐる陳腐な愛憎劇という類のものではなく、まさに女の威信を
かけた意地の張り合いであった。

その複雑な恋愛関係は、それぞれの役柄を演ずる俳優たちの個性のせめぎあいをより際立たせ、
ストーリーを越えた魅力を放つこととなった。



なお本作は、田宮二郎が、所属していた大映を追放される契機になった作品として知られている。

本作のクレジット序列は、岡田茉莉子と若尾文子がダブル主演であり、これに加賀まりこが続き、
田宮二郎は四番手となっていた。

この序列に抗議したため、田宮は大映を解雇となり、以後テレビを中心に活躍することとなった。


 

 制作 大映

 監督 今井正

  配役 浅井道子 岡田茉莉子 浅井義雄 田宮二郎         小柳江美    松村ゆりか 
  米倉マチ子 若尾文子 小柳幾造 三島雅夫         浅井義道    柳渉 
  マユミ 加賀まりこ 望月千鶴子 岸田今日子         米倉文子    中野ひろみ 

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