崖 1975年(昭和50年) ドラマ傑作選

東京のあるガケ下の路上で朝方、ガケから転落したのか、一人の意識不明の
男が発見された。
近くの大学病院に運ばれたが、昏睡状態が続き、なかなか意識を回復しない。
ようやく意識の回復した三日目、医師が名前を聞くと、男は、大阪の第三日報
という新聞社の社会部記者をしている山代大五(高橋幸治)と名乗った。
名前と素性は明らかになったが、記憶が三年ほど失われていた。
医師は、消えてしまった男の過去を根気強く、少しずつ取り戻させる。
空白の期間、男が東京で画廊を開いていたことがわかる。
そして、若い画家から買い取ったセザンヌの贋作を、ある老人に売ろうと
している姿が見えて来る。
次第に過去がつながってきたが、男はあの夜、ガケを登って何をしようと
していたのか、それがどうしても思い出せないのだった…。
本作は、井上靖の同名小説のドラマ化で、ガケから転落して記憶を失った男が
失われた過去を求めてさまよい、最終回でついに記憶の全容を取り戻すという
構成になっている。
その過程で、男をよく知る女性が次々と見舞いに訪れ、男の過去の派手な
女性関係がはっきりしてくる。
ドラマ冒頭のタイトルバックが、意識の世界を造形化していて、なかなか面白い。
また、いしだあゆみが、けだるく歌っている主題歌も話題のひとつとなった。
(制作)NHK(原作)井上靖(脚本)石堂淑朗
(主題歌)いしだあゆみ「崖」(作詩:橋本淳、作曲:三枝成彰)
(配役)山代大五(高橋幸治)香村つかさ(酒井和歌子)新見まさ子(安田道代)佐沼医師(神山繁)
江原老人(美川陽一郎)後川陽子(新藤恵美)後川幹之助(草薙幸二郎)
