純情二重奏 1939年(昭和14年) 邦画名作選 |
高山栄子(高峰三枝子)は、母の死をきっかけに自らの出生の秘密を知る。
臨終の母から知らされた栄子の父は、作曲界の重鎮・河田武彦だった。
歌手への夢を抱いていた栄子は、上京して河田を訪ね、母の死を伝える。
だが、河田は冷たく、父の名乗りを拒んだ。
河田は、家庭の事情から、栄子を娘と呼べず、追い返さねばならなかったのだ。
そんな栄子は、ふとしたことから新進作曲家の関(細川俊夫)と知りあう。
関は、栄子に歌の才能があることを知り、彼女のために「純情二重奏」を作曲する。
栄子は夢を実現するため、この曲で新人歌手のコンクールに出場することになった。
高峰三枝子が歌えるスターだと評判が立ったのは、1937年「浅草の灯」で
「恋はやさし」のメロディをちょっと口ずさむシーンが好評だったからだ。
コロムビア・レコードが注目し、翌年、歌手としての専属契約を高峰と結んだ。
本作は、松竹とコロムビア・レコードが提携して制作した歌謡メロドラマである。
若き日の淡谷のり子ほか、コロムビアのアーチストたちが多数出演している。
高峰の役柄は、田舎育ちの歌の才能が豊かな娘で、育ての母親の急逝で上京し、
逆境にもめげず、見事歌手として華々しくデビューする新進歌手の役である。
主題歌「純情二重奏」は、歌手としての高峰初めての大ヒットとなった。
製作 松竹
監督 佐々木康
配役 | 高山栄子 | 高峰三枝子 | 村川弓子 | 松原操(ミス・コロムビア) | |||||||||
関一郎 | 細川俊夫 | 桑原 | 伊藤久男 | ||||||||||
河田武彦 | 斎藤達雄 | 歌手 | 淡谷のり子 | ||||||||||
河田八千代 | 木暮実千代 | 歌手 | 霧島昇 |
コロムビア「純情二重奏」(高峰三枝子、霧島昇)1939年(昭和14年) | |||
森の青葉の 蔭に来て なぜに淋しく あふるる涙 想い切なく 母の名呼べば 小鳥こたえぬ 亡き母こいし 君もわたしも みなし子の ふたり寄り添い 竜胆(りんどう)摘めど 誰に捧げん 花束花輪 谺(こだま)こたえよ 亡き母こいし 母の形見の 鏡掛け 色もなつかし 友禅模様 抱けばほほえむ花嫁すがた むかし乙女の 亡き母こいし 春は燕(つばくろ)秋は雁 旅路はてなき みなし子二人 合わす調べに野の花揺れて 雲も泣け泣け 亡き母こいし 作詞:西條八十、作曲:万城目正 |