女性の戦ひ 1939年(昭和14年) 邦画名作選 |
田沢なほみ(川崎弘子)は、デパートの店員として働きながら、家計を支えている。
ある時、ネクタイを買いに来た客(上原謙)から、女優にならないかと誘われる。
彼は、秋田英輔という映画会社の重役だったが、なほみは、きっぱりと断るのだった。
ある日、なほみの担当する売り場で、毛皮のマフラーが万引きされてしまう。
なほみは弁償しようとするが、かなり高価な品物で、彼女が負担できるはずもなかった。
1938年(昭和13年)月刊誌「婦人倶楽部」に連載された菊池寛の同名小説の映画化。
川崎弘子が、前作「人妻椿」に引き続き、デパートの店員を演じている。
新宿・伊勢丹の装身具売り場だが、和服姿というのが時代を感じさせる。
この彼女を見初めるのが、映画会社の青年重役という役柄の上原謙。
なんとか彼女を女優にスカウトしようとするが、きっぱり固辞されてしまう。
上原謙のスカウトする理由が振るっている。「彼女のような、真面目で美しい方が、
映画の世界に入れば、名実ともに立派な女優が誕生するに違いない」
その後、彼女が実は、ある著名な華族の隠し子であることが判明すると、今度は
「その事実を知っていれば、女優なんかにお誘いするはずが無かった」と言う。
デパートの店員は、美人が多かったので、映画会社からよくスカウトされたのだが、
一見華やかな女優という職業は、当時は、世間から蔑視されていたのである。
製作 松竹
監督 佐々木康 原作 菊池寛
配役 | 田沢なほみ | 川崎弘子 | 玲子 | 森川まさみ | |||||||||
妹・マリ子 | 三浦光子 | 美代子 | 槇芙佐子 | ||||||||||
弟・俊三 | 葉山正雄 | 高澤敬一 | 斎藤達雄 | ||||||||||
養母 | 葛城文子 | 支配人 | 奈良真養 | ||||||||||
秋田英輔 | 上原謙 | 女将 | 吉川満子 |