君死に給うことなかれ   1954年(昭和29年)     邦画名作選 
直線上に配置                

太平洋戦争の終わり頃、藤森亘は、看護婦の久美子と恋に落ちる。

だが、戦争のために二人は離ればなれに。

敗戦の混乱のうちに五年の歳月が流れた。

久美子は原爆の後遺症で生きる希望を失い、行方をくらませてしまう。

久美子が被爆したと知った亘は、彼女の支えになろうと行方を捜すのだが…。



戦争によって引き裂かれた男女の過酷な運命を描いた物語で、司葉子は、原爆で
顔にケロイドを負い、しかも白血病発病の恐れを抱えるヒロインを演じている。


終戦後、亘と久美子は、信州の療養所で再会する。だが久美子は、顔の火傷痕を
見られないようにマスクをして、亘から逃げるように立ち去る。

愛するが故に自ら身を引くという、切ない思いを感じさせる演技を見せている。


当初、有馬稲子主演で撮影に入ったものの、有馬がシナリオに不満で突如降板。

代役として急遽、新日本放送に勤めていた司葉子の主演デビューが決まった。


司は当初出演を固辞したが、相手役の池部良の度重なる説得に「一本だけ」という約束で出演を承諾。

しかし司の端正で清純なイメージが人気を呼び、またたく間に東宝の看板女優になってしまった。

なお芸名は、池部良が名付けたもので、本名の庄司葉子から庄の字を取って司葉子と命名したという。



 
 製作  東宝

  監督  丸山誠治

  配役 藤森亘 池部良 小島礼子 若山セツ子
  堀久美子 司葉子 看護婦長井 菅井きん
  小島昇一 土屋嘉男 保育園園長 志村喬

直線上に配置