小判鮫   1948年(昭和23年)     邦画名作選
直線上に配置                                      

島役人の一人息子である主人公(長谷川一夫)が、無実の罪で島流しにあった男の息子
(長谷川一夫:二役)を捜し出し、男を陥れた悪徳役人と商人の悪事を暴く、という物語。


長谷川一夫が、離れ島の役人の息子と歌舞伎の女形の二役をこなしている。

その女形に惚れる軽業師の小悪女を山田五十鈴が演じ、長谷川と息の合った演技を見せている。

また、長谷川の姪で当時23歳の新人・長谷川裕見子が、もう一人のヒロインとして出演している。


本作は、戦前の大ヒット作「雪之丞変化」(昭和10年)のリメイクだが、制作当時、GHQによる
「チャンバラ禁止令」が出ていたため、チャンバラの登場しない時代劇となった。


だが、長谷川が二役に扮して、千変万化の主演ぶりを披露するとともに、小畑実の歌う哀切漂う
主題歌「小判鮫の歌」の大ヒットも相まって、本作は興行的には大成功を収めた。


 
 
 製作   東宝、新演技座プロ

  監督   衣笠貞之助

  配役    中村紅雀/百太郎 長谷川一夫 大賀弥左衛門 御橋公
      お七 山田五十鈴 唐津屋万平 香川良介
      土居斉人 小堀誠 三郎兵衛 村田正雄
      お蘭 長谷川裕見子 出島屋万兵衛 藤村秀夫

直線上に配置


 
               

           小判鮫の歌
           
      かけた情けが 偽りならば なんで濡れよか 男の胸が
かつら下地に ともしび揺れて いつか浮き名の こぼれ紅

好きといおうか 嫌いといおうか 嘘と誠は 両花道よ
仇な夜風に まただまされて ほろり落とした 舞扇

誰の涙か 二片三片 まわり舞台に 散る花びらよ
恋は一筋 生命にかけて なんの恐かろ 小判鮫

作詞:高橋掬太郎、作曲:大村能章
唄: 小畑実