慶長二年(1597年)黒田長政は、戦に敗北を喫していた。
幼なじみの家臣、後藤又兵衛が討ち死にしたとの報告を受けた長政は無念に髷を切る。
だが、どっこい生きていた又兵衛は長政に夜討ちによる逆襲を進言する。
自らの馬で部下とともに出陣した又兵衛は、見事敵軍を打倒。
宿敵宇都宮家の鶴姫とその甥の人質を取った。
なおも敵を殲滅せよとの長政の命を断った又兵衛は、人質の助命を提言する。
朝日新聞に連載された大仏次郎の同名小説を、松田定次が映画化した傑作時代劇。
孤児であった後藤又兵衛は、秀吉の軍師・黒田官兵衛に拾われ養育される。
その後数々の軍功を挙げ、黒田家の重臣になった又兵衛だが、官兵衛亡き後、
二代目長政との不仲が原因で、黒田家を飛び出してしまう。
やがて豊臣秀頼から戦いの命が出、又兵衛は大坂に六千の兵を連れ入城。
1615年、大坂夏の陣が勃発、又兵衛と長政は敵味方に別れて戦うことになる。
史実の通りなら、又兵衛は大坂城で討ち死するのであるが、そこまでは描かず、
戦が始まり、又兵衛が馬に股がり突き進んで行くシーンで映画は幕となる。
天下無双の豪傑・後藤又兵衛を、市川右太衛門が貫禄十分に演じている。
時代劇の役者というものは、上半身の大きいことが必要条件らしく、
名を成した人は、大体において上のほうが重たそうな体つきをしている。
右太衛門は、この点で申し分がない。まさに時代劇専門。しかも顔がでかく、
ギョロリとした眼光は、まさに又兵衛を演じるにうってつけの役者である。
製作 大映
監督 松田定次
配役 | 後藤又兵衛 | 市川右太衛門 | 鶴姫 | 中村芳子 | ||||||||
黒田長政 | 月形龍之介 | 花若 | 津川雅彦 | |||||||||
宇都宮鎮房 | 羅門光三郎 | 徳川家康 | 藤野秀夫 |