鞍馬天狗 横浜に現る    1942年 (昭和17年)    邦画名作選
                 
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舞台は明治四年の横浜。明治政府ができて間もないこの時期は、まだ貨幣統一の過渡期にあった。

横浜で貿易商を営んでいる悪徳商人ヤコブは、その裏で巨額のニセ金を偽造して荒稼ぎしていた。

政府はこれを阻止するべく、鞍馬天狗こと浪人の倉田典膳を用心棒としてヤコブの元に潜入させる。



大映の誕生は、戦争と大きくかかわっている。1941年(昭和16年)8月、時の政府情報局は、
戦時体制に対応するため、娯楽を統制、映画会社の合併統合を進めた。

1942年(昭和17年)1月、新興キネマ、大都映画、日活の制作部門が合併して大映が発足。
日活の嵐寛寿郎は、合併により大映に移籍することになった。

本作は、こうして国策映画会社として発足した大映の第14作目の作品である。


映画の最初のシーンで、曲馬団一行のパレードがある。ゾウや外国人などが登場して
異国情緒を見せ、従来の鞍馬天狗映画とは違った雰囲気を盛り上げている。

ストーリーは、横浜でニセ金をつくっている不良外人を天狗と杉作少年が
二人で退治するという物語。要するに、戦意高揚映画であった。

昭和17年という時期は、国民ことごとく鬼畜米英の敵愾心に燃えていた時代であった。

鞍馬天狗が外人秘密結社の面々を斬り倒すシーンなどは、胸のすく思いだったのである。



 
 
  製作  大映

  監督  伊藤大輔     原作  大仏次郎

  配役    倉田典膳 嵐寛寿郎 小原正樹 原健作
      杉作 沢勝彦 小原由香 内田博子
      お力 琴糸路 ヤコブ 上山草人

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