舞姫   1951年(昭和26年)       邦画名作選
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しがない考古学者の夫とバレエ教師の妻。

結婚して子供も二人いるのだが、どこかぎこちなく冷めている夫婦である。

妻は、愛情の冷めた夫と別れて、元恋人と新たな人生を歩もうとするのだが…。



川端康成の同名小説を映画化した成瀬作品。岡田茉莉子のデビュー作としても知られる。

この映画は、敗戦による父親の権威の失墜を劇的に描き出した傑作である。

妻の不倫に悩む夫など戦前では考えられなかったことだ。
戦後の家族制度を含めた価値体系の崩壊は、婦人の夫からの解放を促進したのである。

川端康成の原作では、罪悪感に追い詰められた妻の姿が描かれ、そのまま結末を迎える。
だが成瀬版では独自の結末が付与され、家族の再生の可能性を予感させて映画は終了する。





 
 製作  東宝

  監督  成瀬巳喜男
   
  配役    矢木元男 山村聰 竹原 二本柳寛
      妻 波子    高峰三枝子             野津   木村功 
      長男高男 片山明彦 香山 大川平八郎
      長女品子 岡田茉莉子 満枝 沢村貞子

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