野良犬   1949年(昭和24年)       邦画名作選

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真夏の昼下がり、新米刑事・村上は満員のバスの中で拳銃を盗まれた。

やがて盗まれた拳銃による強盗傷害事件が発生してしまう。

村上はベテラン刑事・佐藤と組んで、必死に犯人を追うが…。



戦後まもない時期の社会風俗を活写した作品である。
拳銃を盗まれた若い刑事がそれを捜して東京じゅうを歩き回る。

その姿を通じて、当時の東京の様々な場所が現れる。
闇市やスラム街、そこには戦後の社会の混乱と貧困がナマナマしく描かれている。


拳銃を盗まれてしまった新人刑事・村上(三船敏郎)と、その拳銃で
凶悪犯罪を重ねる遊佐(木村功)は、ともに復員兵の出身だった。

二人は、復員する汽車の中で全財産が入った鞄を盗まれるという
共通の過去を持っていた。

しかし、その後の二人の選んだ道は、それぞれ別のものであった。

遊佐は自暴自棄になって「野良犬」のように悪事に手を染める一方、
村上は、心無い仕打ちに負けまいと奮起し、刑事になる道を選ぶ。

同じ過去を持つ青年二人が、追う者と追われる者になってしまった皮肉。

本作は、戦後の混乱で窮地に立たされた人間が、犯罪を取り締まる刑事になる
可能性だけでなく「野良犬」のような存在にもなりうることを示唆している。



 


 製作  新東宝    配給  東宝

  監督  黒澤明

  配役   村上刑事 三船敏郎   並木ハルミ 淡路恵子 石川刑事 河村黎吉
      佐藤刑事 志村喬   遊佐 木村功 スリのお銀 岸輝子

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