奥様に御用心   1950年(昭和25年)     邦画名作選
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画商の相沢良太郎(若原雅夫)は、夜更けに酔っぱらって帰宅した。

しかも結婚記念日だったことも忘れたため、妻の福子(田中絹代)の怒りを買う。

寝室から叩き出された良太郎は、やむなく書斎で寝ることになった。

翌朝、まだ気が収まらない福子は、街へ出て友人の町子(淡島千景)の家へ向かう。

町子から辰野(森雅之)というイケメンの画家を紹介された福子は、一計を案じる。

それは辰野と浮気しているふりをして、夫の心を引きつけようという作戦だった。



この年に、田中絹代は自身のプロダクションを旗揚げし、本作は松竹との提携第二回作品となった。

田中絹代演じる福子は、夫が泥酔したまま、夜遅く帰宅したのを怒り、寝室を閉め出してしまうが、
それでも飽き足らず、友人の町子が熱をあげている画家に近づいて、夫をやきもきさせようとする。

当時田中は、戦後外国に渡航した日本人俳優第1号として、アメリカに親善使節として赴いたのだが、
帰国時の投げキスなどの振る舞いが「アメリカかぶれ」などと、マスコミに批判されてしまった。

だがそれにもめげず、本作では、洋風かぶれで勝ち気な人妻役を自由闊達に演じている。

また田中と淡島千景演じる二人の人妻を惑わす画家役として、森雅之がユーモア溢れる飄々とした
演技を見せている。

これまで森雅之といえば、どこか陰のあるニヒルでインテリふうの役どころが多かったが、
本作では、コメディ俳優としての新境地を披露している。



 
 
 
  製作   松竹、田中絹代プロ

  監督   中村登

  配役    相沢福子 田中絹代 辰野龍介 森雅之
      相沢良太郎 若原雅夫 マダム 桜むつ子
      佐藤町子 淡島千景 警官 坂本武
      佐藤五郎 日守新一 女中 志賀真津子

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