王将   1962年 (昭和37年)        邦画名作選
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明治40年の大阪。草履作りの職人・坂田三吉は、三度の飯より将棋が好き。

大会があれば女房・小春の服を売り飛ばして出場し、何日も帰ってこない。

ある将棋大会でのこと。プロの関根七段が素人として参加していた。

そうとは知らない三吉は全力でぶつかるが…。



将棋界の鬼才・坂田三吉の波乱に満ちた半生を、名匠・伊藤大輔が映画化。

異端の棋士として伝説に残る坂田三吉とその妻・小春との15年に渡る絆を描いた名編。


先祖の仏壇から、挙句の果ては娘の着物まで質に入れて、将棋に狂う坂田三吉。

そんな三吉に愛想を尽かし、二人の子供を抱えて鉄道に飛び込もうとする小春。

「将棋はキッパリ止める」という三吉に「いっそ日本一になりなはれ」と逆に激励する。


本作は、将棋の名勝負物語であると同時に、赤ん坊のように世間知の無い天才的な夫を
支える辛抱強い妻という夫婦愛の物語でもある。


小春を演じた淡島千景は、どうしようもない亭主に尽くす苦労女房の役がとにかく上手い。

彼女の代表作である「夫婦善哉 1955年」でも、甲斐性無しの男(森繁久彌)を陰に日向に
支え抜く健気で一途な芸者役を絶妙に演じている。




 

  製作  東映

  監督  伊藤大輔     原作 北条秀司

  配役 坂田三吉 三国連太郎 関根名人 平幹二朗         西村    花沢徳衛 
  妻・小春 淡島千景 榊原 村田英雄         宮田    殿山泰司 
  娘・玉江 三田佳子 毛利 千葉真一              

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