三万両五十三次   1952年 (昭和27年)        邦画名作選

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「ひょうたん」と異名をとる浪人馬場蔵人は、藩の密命を受け、三万両の黄金を京都へ運ぶことになった。

三万両をねらう浪士たち、欲にからんだ怪盗牛若小僧らが、蔵人のあとを追って五十三次の旅へと続いた。

道中、蔵人の一行は幾度か襲われるが、その度に蔵人の奇策とあざやかな剣さばきとが危機をきり抜ける。

だが京都へ目と鼻の瀬田の大橋に到着したとき、蔵人の一行は、前後からのはさみうちにあってしまう…。




野村胡堂の大衆小説を、木村恵吾が自ら脚本を書き監督した、大河内伝次郎主演の傑作娯楽時代劇。


矢場の用心棒をしていた馬場蔵人は、幕閣の目に叶い、三万両を京へ輸送する役目を仰せつかる。

この蔵人、何故か瓢箪を愛する捉えどころのない男で、女盗賊のお蓮(轟夕起子)から、瓢箪を
タダで貰って大喜びする。

その瓢箪が実は一万両のお値打ちだったと、お蓮は盗賊仲間(加東大介)から聞いてビックリする。


という訳で、お役目の三万両と一万両の瓢箪を持った蔵人ら一行の旅を、お蓮ら盗賊グループや、
幕府の敵対勢力の一味が追って来る、という展開になる。


大河内、54歳の時の作品だが、かつて「丹下左膳」で見せたジャンプしながらの立ち回りも披露して
剣戟スター・大河内伝次郎、今だ健在を証明する痛快娯楽時代劇の傑作となった。



蔵人に想いを寄せる武家娘を演じた折原啓子は、当時ダントツの人気を誇った正統派美人女優である。

昭和20年、大映の第一期新人オーディションに合格、翌年「彼と彼女は行く」に20歳で銀幕デビュー。

邦画初のキスシーンで話題となった作品で、折原は「初のキス女優」としてその名を残すことになる。


以後、その清楚な美貌がファンの心をとらえ、メロドラマ女優として薄幸のヒロインを数多く演じた。

だが結核のため療養を余儀なくされ、昭和30年、大映を退社、次第に映画界から遠ざかってしまった。




  製作  大映

  監督  木村恵吾

  配役 馬場蔵人 大河内伝次郎 山際三左衛門 河津清三郎
      お蓮 轟夕起子 堀田備中守 沢村国太郎
  小百合 折原啓子 牛若小僧 加東大介

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