白鷺 (しらさぎ)   1958年(昭和33年)     邦画名作選
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明治末期、日本橋の老舗の料亭が破産した。

一人娘のお篠(山本富士子)は、傾いた家業のために料亭の芸者となって働き始める。

客で成金の五坂(佐野周二)は、お篠を一目で気に入り、大枚をはたいてお篠をモノにしようとする。

ある日、お篠は一枚の絵を通じて若き画家・稲木(川崎敬三)と出会い、お互いに惹かれあうようになる。

だが大金を出してもらっている事を女将に諭され、お篠はやむなく五坂が待つ寝室へ歩き出すのだった。



明治末の浜町河岸を舞台に、芸者に身を落とした没落商家の娘の悲恋を描いた文芸大作。

山本富士子が、薄幸な芸者に扮し、新進画家に尽くす女の情愛を格調高く演じている。


1950年(昭和25年)ミス日本となり、その後、大映入りした山本富士子は、着物姿のよく似合う
期待の新人として迎えられた。

そこで彼女のために「湯島の白梅」「白鷺」「歌行燈」など、着物姿の女性が悲しい運命に
耐える明治の古風な新派悲劇の映画化が次々と行われたのである。


これらは何れも悲恋文学の最高峰と謳われた泉鏡花の作品で、演出・監督は衣笠貞之助である。

山本富士子が、女優としての転機を迎えたのは、この衣笠貞之助との出会いであった。


新派劇の女形出身であった衣笠は、自ら演じてみせ、山本に手取り足取りの演技指導。

遂に山本は女優開眼、これらの作品は、鏡花ものの代表作として山本の十八番となった。



 
 
  製作   大映

  監督   衣笠貞之助     原作 泉鏡花

  配役    お篠 山本富士子 伊達類子 三宅邦子
      稲木順一 川崎敬三 巽与吉 高松英郎
      五坂熊次郎 佐野周二 稲木孝 入江洋佑
      伊達七重 野添ひとみ 和歌吉 角梨枝子

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